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2010年10月2日土曜日

「間違いなく美大落ちるでという、へたくそな絵です。僕はそんな出発をしたわけで、そこから出発できるということでもある」

まねぶ美術史
著者:森村 泰昌
出版社:赤々舍   価格:¥ 2,625

朝日新聞2010.10.1夕刊

「まねぶ」から美術家へ 森村泰昌さん、習作展を書籍化

2010年10月1日

「"ゴッホ"以後のシリーズが、僕の色々な試行錯誤を解消させた面はある」と語る森村泰昌さん=大阪市内

 美術家の森村泰昌さんは今年、趣向の異なる二つの個展を開いた。一つは、20世紀の著名人に扮した「なにものかへのレクイエム」。世界に知られるセルフポートレートシリーズの"回顧"展だ。もう一つは、自身の無名時代の習作を、影響を受けた美術作品と並べて展示した「まねぶ美術史」。森村さんは展示内容を書籍化することにこだわった。そのわけは——。

 「デッサンを見てほしい。(略)高校1年D組だった私が描いたはじめての石膏(せっこう)デッサンだ。もののみごとにへたくそだと思わないか」

 これは『まねぶ美術史』(赤々舎)の冒頭に森村さんが著した言葉だ。文の横には石膏(せっこう)像のデッサン。1967年、少年時代の作品である。

 ページをめくると、青ペンによる抽象画がワシリー・カンディンスキーの作品「小さな世界IX」(1922年)と並んで掲載され、さらに鉛筆で描かれた抽象画がパウル・クレーの作品「綱渡り」(23年)と並んで掲載されている。

 これらは今夏、高松市美術館で開催され、来年以降に広島県福山市や岩手県などに巡回する同名の個展の内容そのままだ。森村さんの過去の習作や未公開作品と美術館のコレクション計約120点を展示した。ちなみに「まねぶ」は「まねる」「まなぶ」の語源となった言葉である。

 「肖像(ファン・ゴッホ)」(85年)を発表し、擬態する美術家モリムラとして飛躍する以前の個人史の数々。「お茶屋の息子の僕には芸術的な環境が何もなかった。例えば本を開いたときとかにぽつんと情報が入ってきて、そのたびに『こんなもんがあるのか』と驚いて自分のオリジナリティーを追求した」

 数千点におよぶ習作のほとんどを、森村さんは自宅に保管していた。それらを「気になってちらちらと眺めていた」ところから、「まねぶ美術史」を思い付いた。「当時の表現との出会いとか衝撃は、非常に純粋なものでした。最近、あの衝撃がとても大事に思えてきたんです。試行錯誤しながら一巡して、原点に戻った感覚ですね」

 芸術のプロジェクト化が進み、大がかりになったことも気がかりだった。「僕の『レクイエム』も結構な規模。ただその一方で、表現は本来的には個人的なものなんやけど、という思いもあって」

 書籍化はそんな思いの結晶でもある。だから40余年前のデッサンを表紙に載せた。「間違いなく美大落ちるでという、へたくそな絵です。僕はそんな出発をしたわけで、そこから出発できるということでもある」(浜田奈美)

2010年10月1日金曜日

『ジョージ・オーウェル日記』

ピーター・デイヴィソン編/高儀 進 訳
ジョージ・オーウェル日記
税込価格 : 8820円 (本体価格8400円)
ISBN : 978-4-560-08092-4

作家の全貌を知る貴重な資料
ジャンル : 文学
体裁 : A5判 上製 612頁
刊行年月 : 2010-09
内容 : 没後60年記念出版。大不況下の炭鉱労働、最底辺の都市生活者、モロッコのマラケシュ滞在、第二次大戦下のロンドン空襲、孤島での農耕生活と自然観察など、作家の全貌を知る貴重な資料。

「薄汚い格好の女がいた。女は家の前の溝の脇に跪き、詰まっている鉛の配水管を棒でつついていた。身を切るような寒さの中で、ウィガンのスラムの溝の脇に跪き、詰まった配水管を棒でつついているのは、なんと恐ろしい運命だろうと思った。その時、女が顔を上げ、私の目を捉えた。その表情は、見たこともないほどわびしかった。女は私とまさに同じことを考えているのだと強く感じた」[『ウィガン波止場への道』日記より]

■没後60年記念出版
 英国の作家ジョージ・オーウェルは、全体主義を厳しく批判した小説『動物農場』や『一九八四年』、スペイン市民戦争の証言となったルポ『カタロニア賛歌』などで世界的に知られる、二十世紀を代表する巨匠だ。一九五〇年に没してから、今年で六十年になる。本書は、英国で刊行された、詳細な注を施した全集(二十巻)のうち、一九三一年から四九年までの、現存する十一冊の日記と二冊の手帖を一冊にまとめた、たいへん貴重な一次資料だ。
 ロンドンの最底辺生活者と行動を共にし、ホップ摘み労働を体験した「ホップ摘み日記」、大不況下の炭鉱地帯に入り、労働者の過酷な労働と生活に共感をこめて活写した「『ウィガン波止場への道』日記」、海外滞在記である「モロッコ日記」と「マラケシュ・ノート」、第二次大戦が勃発し、BBCで宣伝番組の制作に従事し、空襲に見舞われる様子や愛国心を綴った「戦時日記」、戦後、結核に罹り、孤島の農場に引きこもって、農耕、釣り、自然観察を記録した「家事日記」など、作家の全貌を知ることができる。オーウェルは伝記が書かれることを嫌っていたというが、この日記が彼の人生を物語る実質的な「自伝」になっていることは、興味深い。

■編者:ピーター・デイヴィソン Peter Davison
1926 年、英国北部に生まれ、7歳の時に父を亡くし、女優志望の母がロンドンに行ったため、孤児院で教育を受けた。16歳になる前に社会に出て、映画会社に勤めたのち、海軍に入った。除隊後、鉄道雑誌編集者などを経て、夜学と通信講座で学士号、修士号を取得し、シドニー大学講師になった。その間に現代演劇をテーマにした博士論文を書き、バーミンガム大学、ケント大学などでも教鞭を執り、現在はグリンダー大学名誉教授。これまでにオーウェルに関する著作を30冊近く執筆し、編集している。そのなかでも、詳細な注を施した『ジョージ・オーウェル全集』(全20巻)は、作家の今日的意義を高めたとして、評価されている。1999年、文学に対する貢献によって大英帝国四等勲士に叙せられ、2003年、文献学会から金賞を授与された。

■訳者:高儀進(たかぎ すすむ)
1935 年生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。翻訳家。日本文藝家協会会員。主要訳書:D・ロッジ『大英博物館が倒れる』『交換教授』『どこまで行けるか』『小さな世界』『楽園ニュース』『恋愛療法』『胸にこたえる真実』『考える…』『作者を出せ!』『ベイツ教授の受難』、R・ムーアハウス『ヒトラー暗殺』、D・C・ラージ『ベルリン・オリンピック
1936』、B・マッキンタイアー『ナチが愛した二重スパイ』

*データは刊行時のものです

「人とモノを自由に選べるようになる」←とても素敵なフレーズ

吉原珠央『人とモノを自由に選べるようになる本』(幻冬舎)
税込価格: ¥1,365 (本体 : ¥1,300)
出版 : 幻冬舎
サイズ : 19cm / 206p
ISBN : 978-4-344-01874-7
発行年月 : 2010.8

自信も目標もなく不安な日々を過ごしていた著者が、どのようにして自分の人生に納得し「人とモノを自由に選べる」ようになったのか。悩み抜いた経験から学んだ考え方や習慣、実践的なトレーニングなどを紹介する。

■著者紹介
〈吉原珠央〉全日本空輸株式会社(ANA)客室乗務員、英国留学などを経て、独立。イメージコンサルタント。DC&IC代表。著書に『「また会いたい」と思われる人の38のルール』がある。

■出版社/著者からの内容紹介
航空会社の客室乗務員を辞めた後、「仕事もない、収入もない、特技もない、自信もない」という、ないない尽くしだった著者。
そこからどうやって「イメージコンサルタント」として独立し、コンサルや講演の依頼が殺到するほど活躍できるようになったのか?

それは「人とモノを自由に選べる人生」という目標を達成すべく、32のルールをコツコツと実践してきたから。
その結果、いまでは「好きなときに、好きな人たちと、やりたいことができる」毎日を過ごしている。

本書ではその具体的な方法をわかりやすく紹介。「人やモノに振り回されていた人生」が「納得できる人生」に劇的に変わるヒントが満載!

◎「自由に選べない人生」=「流される人生」
◎無理にポジティブにならない
◎「運気」は自分で変えられる
◎「~しなければ」という考え方を捨てる
◎人はイメージした人にしかなれない
◎何か「一つ」を徹底する
◎ネガティブな視点にこそヒントがある
◎タダでお願いをしない人になる
◎人脈は広げるな
◎「うらやましい」と口にしない
◎「好かれること」は目標と切り離す
◎謝罪はしつこいくらいがいい
◎「絶対」を使わない
◎「たぶん」を多用しない
◎メールでわかる「選ばれ度」
◎「選ばれる人」に共通するGNOの法則とは
◎「あるもので、なんとかできる力」をつける
◎お金持ちだから幸せとは限らない

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『「また会いたい」と思われる人の38のルール』
内容紹介
たった1秒の「反応」で、人生は劇的に変わる!

仕事も恋愛も、相手から「また会いたい」と思われてこそ、
目標を達成できるのです。

そのために最重要視すべきことは、「反応をよくする」ということです。

それを実践するだけで、仕事の幅もみるみる広がり、
いいことが次々と舞い込んでくるようになるのです。

◎人生はたった1秒の反応で決まる!
◎表情の印象は5ミリで変わる!
◎姿勢が運勢を左右する
◎恐いくらい本性が出る手癖、足癖
◎ほめられたら、第一声は『ありがとう』
◎人間関係もビジネスも『損して得取れ』
◎相手の心に届く『巻き込みアクション』をする
◎人と縁を切ることを恐れるな
◎相手にとって『意外に失礼な言葉』を使うな
◎いつも笑顔でいるのはやめよう!
◎ドン引きされる余計な一言は使うな
◎好かれようとするのはやめよう!

等々、実践すれば、その場ですぐに効果があらわれる
ルールが満載です。

『書誌学のすすめ 中国の愛書文化に学ぶ 東方選書40』

書誌学のすすめ 中国の愛書文化に学ぶ 東方選書40
高橋智
出版社:東方書店
出版年:2010年09月
コード:00701
288p
ISBN/ISSN 9784497210142

「善本」の価値観と見方を懇切に講義。書物の誕生から終焉、再生と流転までの生涯とともに、中国歴代の書物文化史を概観。現代書誌学による調査の実例や、「中華再造善本」「古籍普査」など中国の最新動向も伝える。

■編著者紹介
1957年仙台市生まれ。1986年慶應義塾大学文学研究科修士課程修了。1986〜88年上海復旦大学古籍整理研究所高級進修生。1990年慶應義塾大学文学研究科博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授。文学博士。論著に『室町時代古鈔本『論語集解』の研究』(汲古書院、
2008年)、「宋版の受容と日本の漢学」(『漢字文化三千年』高田時雄編、臨川書店、2009年)ほか。

●編著者のことば

書誌学はけしてすすめられるようなものではない。書物に接して何かの感触が心の琴線に触れたとき自ら学んでみたいと思うのがその出発点だからである。価値を定める鑑定人はたくさんいる必要はない。ただ、その鑑定に至る学問の経緯を理解できる人はいればいるほどよい。書物にとってそれは何よりの大きな味方となるからだ。……大切なことは、中国で生まれた書物は中国人の感覚で捉えなければならないことであり、それが日本に渡って来たら、日本人の感覚で捉えなければならないということである。書物の運命と生涯である。これを考え続けて行くときに古籍はそれにまつわる事跡・人物などさまざまな過去を語り続けてくれるのである。(本文より)

●目次

【第�部】書誌学のすすめ

一 「書誌学」とは何か
近代中国における「書誌学」の復興
「書誌学」と「文献学」

二 中国「文献学」の現況
原本に学ぶ——書影と影印
中華再造善本

三 「善本」の意味するところ
「善本」の価値観
「善本」を求めた蔵書家たち

四 書物の離散と完璧
零本と足本
日本の古写本の離散と再会
書物は人を呼ぶ

五 善本への道
本の大きさと色
本の重さ
序文と跋文
本の封面(表紙)
行数と字数(一)——江標の発想転換
行数と字数(二)——その文献学的意味

六 善本の美
印記(一)——蔵書印の美
印記(二)——文人たちの美観の淵源
批校(一)——その隆盛と印刷術の発達
批校(二)——受け継がれる営為と最終目的
宋版の美(一)——中国印刷史上の位置
宋版の美(二)——時代鑑定の厳しさ
宋版の美(三)——字様の美

七 書誌学を支えるもの
夢と現実
ささやかな友好

【第�部 書物の生涯】

一 書物と旅
北平から基隆へ——一九一一〜四八
台中から北溝へ——一九四九〜五四
北溝から台北へ——一九五五〜六六
台北故宮博物院の発展——一九六六〜八三
書物と旅(一)楊守敬・観海堂旧蔵書ほか
書物と旅(二)瞿�・鉄琴銅剣楼旧蔵書
書物と旅(三)日本に流伝した『論語』『尚書』

二 書物の誕生
「書」の誕生と「本」の誕生
書物と著者
書物と序文・題跋
「本」の生年月日と戸籍
写本の誕生
日本の写本

三 書物の終焉と再生
書物の年齢とは
書物ばらばら事業——類書の編纂
書物のデータ保存——版木
版木による研究
書物の変身

四 再造と鑑定
「再造」は複製か、偽物か
融和する「再造」と「鑑定」

【第�部 書誌学の未来】

一 楊守敬の購書
二 典籍の聚散(一)焚書から『四庫全書』の受難まで
焚書から黄巣の乱まで
宋・元・明代
『永楽大典』と明代蔵書の受難
『古今図書集成』と『四庫全書』
『四庫全書』の災難
禁中の失火——「天禄琳琅」など
私家の災厄——絳雲楼など

三 典籍の聚散(二)日本に渡った典籍の帰郷
幸運と帰郷
楊氏から名家へ(一)——李盛鐸蔵書
楊氏から名家へ(二)——潘氏宝礼堂・曲直瀬家養安院蔵書
得難き出会い
六合徐氏の購書(一)——徐承祖使東所得
六合徐氏の購書(二)——印記が示す流転の実態
荊州田氏の購書——伏侯在東精力所聚

四 古籍の流通史研究と古籍普査
古籍の流通史——蔵書印の功用
古籍普査(一)——広大な視野
古籍普査(二)詳細な身元調査

五 書誌学の志
書誌学の実現——総体と詳細と
書誌学の未来——読書と校勘

あとがき

【附録】
関係年表
中国皇帝年代表
参考図書
漢籍公開機関・ホームページリスト
中国の刊本の名称
清末北京城
紫禁城平面図
索引

金沢に行ったら行きたいお店「玉響 (たまゆら)」

飲食店名
金沢 玉響 (かなざわたまゆら)
住所・場所
石川県金沢市法島町8-6
アクセス

北陸本線 西金沢駅
電話番号
076-244-7005
お店のジャンル
レストラン 和食 郷土料理
営業時間
18:00〜24:00(L.O.22:30)
定休日
日・祝,(祝日の月曜のみ)
ホームページ
http://r.gnavi.co.jp/r016600/

2010年9月30日木曜日

『孫は祖父より1億円損をする : 世代会計が示す格差・日本』ほか、世代会計入門

世代会計
generation account


各世代別に、政府に対する支払い(税金の納付・国債の購入・年金の支払い)と政府からの受取り(補助金の受取り・国債の利払いの受取り・年金給付)をそれぞれ分類して、しかもそれをある世代に属している人が一生の間に合計でどれだけ受け取ったり支払ったりしているかを計算して、世代別の損得勘定を確定することを、世代会計という。このような作業は、近年、アメリカの有力な財政学者であるコトリコフ(L.
J. Kotlikoff)らによって提唱され、最近ではわが国を含めて主要な先進諸国で、数量的な作業が進められている。世代別のトータルな損得勘定が確定すれば、財政制度によって、どのような世代間の再分配が行われているのかが明確になる。また、世代会計はストックベースの指標であり、フローベースの指標である財政赤字よりも、ストック化した経済では財政に関するより有益な指標と考えられている。

孫は祖父より1億円損をする : 世代会計が示す格差・日本
島澤諭, 山下努著, 朝日新聞出版, 2009.4, 216p

第1章 「世代会計」で解けるさまざまな問題
第2章 「世代会計」って何だ!
第3章 「世代会計」で見る世代間格差
第4章 老人の、老人による、老人のための政治
第5章 世代間の公平性を確保するために
第6章 「世代会計」と時間、「世代会計」と政府投資


少子化の経済分析
高山憲之, 斎藤修編, 東洋経済新報社, 2006.12, xi, 271p

[目次]

* 少子化経済の課題と展望

* 第1部 少子化と雇用・賃金
国際比較からみた日本の少子化と少子化対策
少子化の経済的インパクト-理論的分析
企業における高齢者の活用-定年制と人事管理のあり方
就業に関する中高年と若年の対立とその後
少結婚化と賃金・雇用制度

* 第2部 人口減少下の財政と金融
少子高齢化と財政収支・経常収支
世代間不均衡と財政改革-世代会計アプローチによる2000年基準推計結果
子育て支援と年金改革-出生率を内生化したモデル分析
人口減少経済と金融政策
少子高齢化と家計のポートフォリオ選択

破産する未来 : 少子高齢化と米国経済
ローレンス・J・コトリコフ, スコット・バーンズ著 ; 中川治子訳, 日本経済新聞社, 2005.7, 366p

2030年、米国ではベビーブーム世代の完全引退で年金・医療費の負担が耐え切れない水準にまで上昇する!-本書が赤裸々に描き出す米国の戦慄の未来は、少子高齢化がさらに深刻な日本にこそ当てはまる。しかも、この悪夢のシナリオはすでに始まっているのだ!「世代会計」が明らかにした少子高齢化の恐るべき真実。
[目次]

* 第1章 赤ん坊から老人へ
* 第2章 真実は小説より悪い
* 第3章 ニューヨークの地図でロサンゼルスを走る
* 第4章 強壮剤、怪しげな薬、その場しのぎの応急処置
* 第5章 臨界に向かって
* 第6章 進路を変える
* 第7章 ライフ・ジャケットにしがみつけ!
* 第8章 自分の未来を救おう

16.
世代の経済学 : 誰が得をし,誰が損をするのか
ローレンス・コトリコフ著 ; 香西泰監訳, 日本経済新聞社, 1993.10, xxv, 292p

高齢化社会を支える莫大な社会保障や医療費は、誰がどう負担するのか?将来にわたる世代ごとの負担と受益の関係を明らかにすることこそ重要だ。政策指標としての「財政赤字」を批判し、新概念の必要性を大胆に説く。
[目次]

* 1章 煙と鏡-無意味な「財政赤字」という概念
* 2章 アメリカ経済の病い-真の問題は貯蓄率の低下にある
* 3章 赤字のせいだ-財政赤字は経済問題とは無関係
* 4章 数字はうそをつき、うそつきが数字を作る-財政政策の基本要素と世代会計の意義
* 5章 世代会計-世代間の負担関係を検証する
* 6章 財政赤字の錯覚-経済指標としての不適切さを検証する
* 7章 戦後の世代政策-各世代への影響と帰結
* 8章 社会保障とベビーブーム世代-世代会計から得られる教訓
* 第9章 世代会計の行方-要約

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

残酷な世界で生き延びる
たったひとつの方法

Only one method of survival in the cruel world

橘玲・著

TACHIBANA Akira

幻冬舎

2010年9月30日発売

定価1575円

ISBN978-4-344-01885-3

伽藍を捨ててバザールに向かえ!
恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!

「やればできる」という自己啓発では、この残酷な世界を生き延びることはできない。
いま必要なのは、「やってもできない」という不都合な真実を受け入れ、
それでも実現可能な新しい成功哲学なのだ。

自己啓発の思想は、次の4つに要約できる。

(1)能力は開発できる。
(2)わたしは変われる。
(3)他人を操れる。
(4)幸福になれる。

これらの目標に到達する技術(スキル)は存在するのか?
そしてそれは、努力によって習得可能なのか?


目次

はじめに

序章 「やってもできない」ひとのための成功哲学

ゼロ年代のカリスマ
アップルパイと縦列駐車
社会進化論を信じた大富豪
自己実現という神の宣託
一卵性双生児の再会
こころは遺伝するのか?
知能の70パーセントは遺伝で決まる
子ども成長に子育ては関係ない
「やってもできない」成功哲学

第1章 能力は向上するか?

1. 「やってもできない」には理由がある

4万年先の曜日を当てる双子
好き嫌いはなぜ生まれるのか?
電脳空間の原始人
ダメでも生きていける比較優位の理論
自由貿易は世界を幸福にする
2割の富裕層と8割の貧困層

2. 能力主義は道徳的に正しい

投資家たちのリスクゲーム
ぼくたちはみんな投資家で資本家
1億4000万円の人的資本
顔写真と生年月日のない履歴書
差別を擁護する良心的なひとたち

3. 「好きを仕事に」という残酷な世界

快適なマクドナルド化
マックジョブを選んだ高齢者
現代社会の最強の神話
バイク便ライダーの不都合な真実

第2章 自分は変えられるか?

1. わたしが変わる。世界を変える。

嫉妬のない男
"遺伝的に正しい"生き方
ヒトは肉食獣の餌だった
引き寄せの法則
親の愛情はいらない
自分を変えようとした男
無意識は考える

2 『20世紀少年』とトリックスター

草野球とビールの国のピーターパン
愛情空間と貨幣空間
権力ゲームのルール
囚人のジレンマ
しっぺ返し戦略
日本人はアメリカ人よりも個人主義?
アラブ人はユダヤ人が大好き
貨幣空間のトリックスター

3 友だちのいないスモールワールド

マクドナルドに誘われた日
貨幣空間はスモールワールド
親しい友人はなにもしてくれない
友だちのいない世界
残酷な愛情空間、冷淡な貨幣空間

第3章 他人を支配できるか?

1 LSDとカルトと複雑系

洗脳の三段階
CIAが開発した魔法の薬
幽体離脱とてんかん
脳の配線が神を生み出す
サイキックマフィア
権威と服従

2 こころを操る方法

�お返し�のちから
チンパンジーにも所有権がある
吸血コウモリと返報性の罠
影響力の武器
ハワイでタダのディナーを食べられた理由
「自分は特別」という妄想
社会的知性がマルチ商法にはまる

第4章 幸福になれるか?

1 君がなぜ不幸かは進化心理学が教えてくれる

ヤクザも魚も縄張りを守る
抗争しないという抗争
エディプスコンプレックスはでたらめ
セックス原理主義から遺伝子中心主義へ
こころというシミュレーション装置
平等も格差も遺伝子に刻印されている
ぼくたちが不幸な理由

2 ハッカーとサラリーマン

ハッカーは所有権を大事にする
やさしい独裁者
お金はゲームをだいなしにする
日本人は会社が大嫌いだった
日本的雇用が生み出す自殺社会

3 幸福のフリーエコノミー

無限の快楽をつくる技術
大富豪とマサイ族
バックパッカーのサーフィン
一期一会はぼったくりのチャンス
フリーが生んだ「評判」市場
悪人が善人になるネットオークション
悪評が自己増殖する死の世界
大富豪たちの社交パーティ
"友情化"する貨幣空間

終章 恐竜の尻尾のなかに頭を探せ!

雪の結晶
君にふさわしい場所

あとがき
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はじめに

 この世界が残酷だということを、ぼくは知っていた。

  この国には、大学を卒業したものの就職できず、契約やアルバイトの仕事をしながら、ネットカフェでその日暮らしをつづける多くの若者たちがいる。

  就職はしたものの、過労死寸前の激務とストレスでこころを病み、恋人や友人にも去られ、果てしのない孤独に落ち込んでいくひともいる。

  東京と高尾を結ぶ中央線はいまや自殺の名所で、リストラで職を失ったり、困窮の果てに生きる意欲をなくした中高年によってダイヤは始終混乱している。

  小学生がいじめで自ら生命を絶つかたわらで、「品格」を説く老人たちは日本国の莫大な借金に怯え、年金を払えと大合唱している。

  いまや誰もがいい知れぬ不安を抱え、グローバル資本主義や市場原理主義を非難し、迷走をつづける政治に不満を募らせている。国家は市場に対してあまりにも無力で、希望は永遠に失われたままだ。

 15年くらい前、新宿に巨大なダンボールハウスの集落があった。その頃ぼくは人生の危機を迎えていて、新宿駅で降りるたびに、西口改札前広場や、東京都庁への地下道や、新宿中央公園のホームレスを眺めて長い時間を過ごしたこともあった。

 そのうちぼくは、ほかにも同じようなひとたちがいることに気がついた。彼らはくたびれたスーツを着ていたり、工務店や運送会社の制服姿だったり、りゅうとした身なりの紳士だったりした。目を合わすことも、口をきくこともなかったけれど、ぼくたちはみな同じ空間を共有していた。その空間は、恐怖に満たされていた。

 ぼくはホームレスに興味があったわけでも、彼らのためになにかしたいと思っていたわけでもない。ただ、自分がなぜ彼らに引き寄せられるのかを知りたかっただけだ。ほんのささいなきっかけで金銭も愛情も失ってしまえば、あとは彼らの隣人として生きていくほかはない。

  それと同じ恐怖が、いまや日本じゅうを覆っている。それについてぼくがなにか語れるとしたら、その匂いを知っているからだ。

 グローバルな能力主義の時代を生き延びる方法として、自己啓発がブームになっている。ぼくはずっと、自己啓発に惹かれながらもうさんくさいと感じていて、そのことをうまく説明できなかった。能力開発によって、ほんとうにすべてのひとが救われるのだろうか。

  自己啓発の福音は、次の四つだ。

1. 能力は開発できる。
2. わたしは変われる。
3. 他人を操れる。
4. 幸福になれる。

 巷にあふれる自己啓発本では、これらの目標に到達するさまざまな技術(スキル)が解説されている。でもここでは、そうしたノウハウの優劣を評価するつもりはない。

  自己啓発は、正しいけれど間違っている。ぼくたちのこころが進化の過程でつくられてきたという新しい考え方が、この不思議を解く糸口を与えてくれる。

 といってもこれは、脳科学や進化心理学の本ではない。なぜ自己啓発がこれほどぼくたちを惹きつけ、けっきょくは裏切るのか。ぼくたちはどうしていつも不幸なのか。そして、世界はなぜこれほどまでに残酷なのか。その理由を、誰にでもわかるように説明してみたい。もちろん、専門知識はいっさい不要だ。

 自己啓発の伝道師たちは、「やればできる」とぼくたちを鼓舞する。でもこの本でぼくは、能力は開発できないと主張している。なぜなら、やってもできないから。

 人格改造のさまざまなセミナーやプログラムが宣伝されている。でも、これらはたいてい役には立たない。なぜなら、「わたし」は変えられないから。

 でも、奇跡が起きないからといって絶望することはない。ありのままの「わたし」でも成功を手にする方法(哲学)がある。

  残酷な世界を生き延びるための成功哲学は、たった2行に要約できる。

伽藍を捨ててバザールに向かえ。
恐竜の尻尾のなかに頭を探せ。

 なんのことかわからない? そのヒミツを知りたいのなら、これからぼくといっしょに進化と幸福をめぐる風変わりな旅に出発しよう。

最初に登場するのは、�自己啓発の女王�だ。

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著作一覧

1. 亜玖夢博士の経済入門 / 橘玲. -- 文藝春秋, 2010.6. -- (文春文庫)
2. 亜玖夢博士のマインドサイエンス入門 / 橘玲. -- 文藝春秋, 2010.3
3. 知的幸福の技術 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2009.10. -- (幻冬舎文庫 ; た-20-4)
4. 貧乏(ビンボー)はお金持ち / 橘玲. -- 講談社, 2009.6
5. 永遠の旅行者. 下 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2008.8. -- (幻冬舎文庫)
6. 永遠の旅行者. 上 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2008.8. -- (幻冬舎文庫)
7. 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術. 究極の資産運用編 / 橘玲,海外投資を楽しむ会. -- ダイヤモンド社, 2008.7
8. 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術. 至高の銀行・証券会社編 / 橘玲,海外投資を楽しむ会. -- ダイヤモンド社, 2008.7
9. 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 / 橘玲. -- ダイヤモンド社, 2008.3
10. 亜玖夢博士の経済入門 / 橘玲. -- 文藝春秋, 2007.11
11. マネーロンダリング入門 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2006.11. -- (幻冬舎新書)
12. 臆病者のための株入門 / 橘玲. -- 文藝春秋, 2006.4. -- (文春新書)
13. 不道徳教育 / ウォルター・ブロック[他]. -- 講談社, 2006.2
14. 永遠の旅行者. 下 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2005.7
15. 永遠の旅行者. 上 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2005.7
16. 雨の降る日曜は幸福について考えよう / 橘玲. -- 幻冬舎, 2004.9
17. 「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 / 橘玲,海外投資を楽しむ会. -- 講談社, 2004.8. -- (講談社+α文庫)
18. 得する生活 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2003.11
19. マネーロンダリング / 橘玲. -- 幻冬舎, 2003.4. -- (幻冬舎文庫)
20. 世界にひとつしかない「黄金の人生設計」 / 橘玲,海外投資を楽しむ会. -- 講談社, 2003.11. -- (講談社+α文庫)
21. お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 / 橘玲. -- 幻冬舎, 2002.12
22. マネーロンダリング / 橘玲. -- 幻冬舎, 2002.5

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