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2010年6月11日金曜日

高山宏『ふたつの世紀末』

税込価格: ¥2,520 (本体 : ¥2,400)
出版 : 青土社
サイズ : 20cm / 297p
ISBN : 4-7917-5669-X
発行年月 : 1998.11
# 単行本: 297ページ
# 出版社: 青土社; 新装版版 (1998/10)
# ISBN-10: 479175669X
# ISBN-13: 978-4791756698
# 発売日: 1998/10

奇形の庭園をさまよい歩き、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末。現代の私達の世紀末もこの反復なのかもしれない。膨大な資料を駆使して描く世紀末論。86年刊の新装版。

パニックの美学。「終末」の原風景。畸形の庭園を逍遙し、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、眩暈を誘う速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末
—。現代の我らの世紀末もまた眼差しの刺戟を求め、「驚異」の数々を世界の果てまで渉猟した、18世紀末の偏奇な感性の反復にすぎないのではないか。厖大な資料を駆使して描く全く斬新な世紀末論。

2010年6月10日木曜日

田中純『政治の美学—権力と表象』(東京大学出版会、2008.12)

田中純『政治の美学』

東京大学出版会,2008年


ISBN978-4-13-010109-7, 判型:A5, 624頁

税込5250円/本体5000円

政治的暴力が美化される情動の論理を,芸術や学問と政治が交差する領域において探求する表象文化論のスリリングな実践.政治的情動と官能的な美が共犯関係を結ぶ過程を,テクスト分析・イメージ分析によって探る.時代論,政体論,結社論,表象論の四部構成.

目次

I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック ——時代論

序「ファシズムの美学」再考 ——スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」

美と腐敗 猥褻な理想と暴力のエロス化


1 キッチュな黙示録 ——ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』

ヒトラー映画『没落』 死のキッチュとその累乗 集団的記憶の徹底操作——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(一)
導入部の分析——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(二) 人形による悲哀劇——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(三)
審美主義の逆説


2 白い恐怖、赤い亡霊 ——クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ

観客のまなざしとファシズム──パゾリーニ『サロ、あるいはソドムの一二〇日』 堤防としての身体──テーヴェライト『男たちの妄想』(一)
生まれきらなかった男たち——テーヴェライト『男たちの妄想』(二) もうひとつの皮膚──テーヴェライト『男たちの妄想』(三)
歴史認識と無意識──テーヴェライト『男たちの妄想』(四) 自伝から同時代史へ 赤軍派の亡霊 「抽象急進主義」と芸術


3 自殺するロックンロール ──デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー

ロック・イデオロギーの「呼びかけ」 分身という戦略──『ジギー・スターダスト』 ロックの「時間」と「夢」
総合芸術作品のメディア力──『ダイアモンドの犬たち』 ロックの臨界点──『ロウ』


第I部・結び──亡霊的権力あるいは権力の亡霊


II 権力の身体 ——政体論

序 権力の三つの身体 ——聖体から革命の身体へ

聖体の超実在性 国家という怪物の身体 理想的身体とその脆さ


1 ギリシア幻想の身体 ——ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣

禁忌の土地 完全な身体というファンタスム 寓意的解体のまなざし 古代を「もどく」


2 レヴィヤタン解剖 ——カール・シュミットにおけるイメージ・表象・身体

カール・シュミットのイコノロジー 時間の政治的イコノグラフィー 表象の過剰補償 近代的政治の身体あるいは肉 獣人としての主権者の肖像


3 子午線のデザイン ——カール・シュミット『大地のノモス』

ヨーロッパの美的政治とその解体 子午線の彼方──シュミットとコジェーヴ


4「英霊」の政治神学 ——橋川文三と「半存在」の原理

二つの生命 幽顕思想と祖霊信仰 天皇制政治神学の教理問答 「死のメタフィジク」と「死に損い」——橋川文三の思想的根拠(一)
「超越者としての戦争」——橋川文三の思想的根拠(二) 「美」に抗する「歴史」——橋川文三の思想的根拠(三)


第II部・結び──芸術家という「王」たち


III 男たちの秘密 ——結社論

序 男性結社のエロス ——三島由紀夫と結社論の諸問題

恋する結社 ドイツにおける男性結社論の系譜 脆弱な男性性 稚児と幼童天皇 絶対者との契り


1 主権の秘密 ——オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺

『年齢階梯制と男性結社』から『古ゲルマンの青年入社式と男性結社』へ
社会・文化的症候としての神話学──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(一)
エクスタシー的儀礼からの国家秩序の生成──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(二) ギンズブルグによるヘフラー批判とその盲点
狼たちの結社——ヘフラー周辺の議論から カネッティの群衆論と『ゲルマン人の祭祀秘密結社』


2 戦士の到来 ——社会学研究会とジョルジュ・デュメジル

秘密結社と「冬の風」 戦士と魔術師──一九三〇年代のデュメジル(一) 生ける神話──一九三〇年代のデュメジル(二)
聖社会学と「政治の審美化」 戦士の罪──デュメジルとクラストル


3 亡命者たちの山 ——日本における男性結社論の系譜

「無縁」な者たちの「組合」——中沢新一『芸術人類学』からの遡行(一) 王と山伏──中沢新一『芸術人類学』からの遡行(二)
『古日本の文化層』と「日本とゲルマンの祭祀秘密結社」 新羅花郎とその変容 亡命の民たち


第III部・結び──保田與重郎『萬葉集の虗藭』とカントロヴィッチ「秘密のドイツ」


IV 建築と政体 ——表象論

序 建築空間の政治学 ——ミース、アールト、ル・コルビュジエ

帝国・小国・遊牧民


1 近代というナルシス ——ル・コルビュジエの遡行的問い

水上のユートピア パルテノン神殿と建築の決定的瞬間 幾何学と起源 建築と表象


2 小国民の建築 ——アルヴァ・アールトの「小さな人間」

建築の戦い 小国民の政治と芸術 ヘテロトピア・触覚性・遊牧民


3 ファシズムの表象 ——ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義

裏返された「ガラスの家」──カーサ・デル・ファッショ 古代との闘争——ダンテウム 建築と政治


4「どうしようもないもの」との葛藤 ——堀口捨己における日本・近代・建築

「様式なき様式」の形容矛盾 庭という夢の舞台 パルテノンの女神 「ほのかなる かそけきもの」へ


第IV部・結び──ナルシスたちの闘争と逃走


エピローグ


附録

年表

書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ

図版一覧

索引

ゲーテ ボヘミアの森

74歳のゲーテが19歳の女性にフラれて、馬車の中で「マリーエンバートの悲歌」を書いた。

「『マリーエンバートの悲歌』と訳されるからおごそかだが、マリーエンは『マリアの』といった意味だ。聖母マリアである。バートは温泉、『悲歌』の原語『エレギーエン』はエレジーのドイツ語。観音温泉エレジー、つまりは『湯の町エレジー』である。
 ついでながら温泉町マリーエンバートの恋は一八二三年のことである。ナポレオンの没落のあと帝国全土にわたり、宰相メッテルニヒによる監視体制がととのっていた。湯治町にはワケありな人物が出入りするので、とりわけ監視の目が厳しい。老ゲーテの恋愛のことも、当局に報告が届いていた。当局の指示は『特に調査の要なし』。老人が小娘にいいよってフラれたという、笑うべき一件として処理されたらしいのだ。」
池内紀『ゲーテさん こんばんは』

『ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉』

ちくま学芸文庫
ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲ−テ 木村直司
筑摩書房 (2010/06 出版)

502p / 15cm / 文庫判
ISBN: 9784480092939

地球の生成と形成を探って岩山をよじ登り洞窟を降りる詩人。鉱物・地質学的な考察や紀行から、新たなゲーテ像が浮かび上がる。文庫オリジナル。

収録作品 ページ
形態学的序論 27−96
ハルツ山地 99−119
テューリンゲンの森 120−141
ボヘミアの森 142−208
地球の生成理論 233−285
山々の観相学的考察 286−339
岩石の水成論と火成論 340−399
地層構造学的試論 400−430


ゲーテ全集 新装普及版 第14巻(全15巻)
自然科学論
■ 著者名: ゲーテ /著
木村直司 /訳
前田富士男 /訳
野村一郎 /訳
高橋義人 /訳
永野藤夫 /訳
轡田収 /訳
■ カテゴリ名:書籍/全集・著作集
■ 発刊日:2003年06月05日
■ 判型:B6判
■ ページ数:562
■ 税込価格:2,100 円(本体 2,000 円)
■ ISBNコード:978-4-267-01674-5
■ Cコード:0398
目次:
科学方法論 木村直司訳
形態学序説 前田富士男訳
植物学 野村一郎訳
動物学 高橋義人訳
地質学 永野藤夫訳
気象学 轡田収訳
色彩論 木村直司訳
訳注
解説
付・ゲーテの自然科学文献書誌

2010年6月9日水曜日

吉田健一『時間』『ヨオロッパの世紀末』『ヨオロッパの人間』

『時間』
# 文庫: 280ページ
# 出版社: 講談社 (1998/10/9)
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4061976346
# ISBN-13: 978-4061976344
# 発売日: 1998/10/9

*時間は吉田の生涯のテーマだったが、最晩年にかかれたこの批評は吉田の思索の最高峰であると同時に、日本語という言語の内懐でなされた哲学の試みの最高の達成でもある。
*人生に於る時の流れの意味を考察した名文。文化が真に成熟したのは常識に反し十八世紀西欧だとの独創『ヨオロッパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点。心和む哲学的時間論。
*人生の中で時間が流れていく、ということの意味を考え現代文明の偏見を脱して捉われの無い自由な自分となる。文化の真の円熟や優雅さは十八世紀西欧にあるとの『ヨオロツパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点にして、心和む哲学的な時間論。『時間』を書き上げると残っているものを全部出したと感じる、と述懐した批評家吉田健一の代表作。

『ヨオロッパの世紀末』
■青194-2
■体裁=文庫判
■品切重版未定
■1994年10月17日
■ISBN4-00-331942-7
ヨーロッパとは何か.我々は誤解を重ねてきたにすぎない——ヨーロッパがヨーロッパとしての性格を完成した十八世紀,堕落に転じた十九世紀,そして再生の季節としての世紀末を論じた本書は,その比類ない歴史感覚でそれまでのヨーロッパ観,世紀末観を根底から覆した.著者円熟期の最も薫りたかい果実である.(解説
辻邦生)

世紀末文学は俗悪な十九世紀に対する反抗であり、十八世紀の成熟した文明の再評価だという認識をうちだした画期的な批評。近代日本文学は俗悪なヨーロッパ十九世紀文学をさらに俗悪にしたものであり、この本は日本的な「文学」概念に対する根本的な批判でもある。野間文芸賞受賞。

『ヨオロッパの人間—現代日本のエッセイ』
文芸文庫
ヨオロッパノニンゲン
ヨオロッパの人間
現代日本のエッセイ
著者: 吉田健一

発行年月日:1994/10/10
サイズ:A6判
ページ数:286
ISBN:978-4-06-196295-8

定価(税込):999円
ヨオロッパ世界はその精神の故郷が地中海にあってその文明の円熟の頂点は18世紀に極まるとみる著者は、人間が人間であることの限界を認め、その人間らしさを重視しつつ、エリザベス一世、ヴォルテエル等の魅力からランボオ、ヴァレリイ他の鮮かな人間像へと説き及ぶ。18世紀の優雅と哀愁を回顧し、諦念から出発した人生のそれ故の喜びと楽しみを、芳純な文体で語る歴史随筆。

『できる社員は「やり過ごす」』

「できる会社にはやり過ごす能力のある社員が居る」というお話

A6判 並製 272 ページ
978-4-532-19135-1
2002年7月発売
高橋伸夫著
日本経済新聞出版社

日本企業の本当の強さを再発見!
上司の無理難題をものともせずに「やり過ごし」、手のかかる部下の面倒をみて、「尻ぬぐい」「泥かぶり」もいとわない、奮闘するミドルの実態を検証・分析、その驚くべ役割を解明。
これまでほとんど真面目に取り上げられることがなかった日本企業の日常を、多くの企業に対するアンケート調査と科学的な分析によって明らかにしたユニークな本です。これを読めば、現状よりも将来に比重を置く「未来傾斜論理」や年功制の強さなど、日本型組織の意外な強さを再認識できるはず。自信を喪失し、元気をなくしている日本企業とそこで働く会社員にエールを贈る一冊です。

文庫版まえがき

第1章 「やり過ごし」の効能

やり過ごしてますか/
やや、こんなにやり過ごしている/
上司の指示は「打ちあげ花火」/
有能な部下は「やり過ごす」!?/
上司の「バカ殿状況」にいかに対処すべきか/
「やり過ごし」上手な部下を育てる

第2章 「尻ぬぐい」で組織はまわる

「真夜中のラーメン屋は大繁昌」のワケ/
だれがいちばん忙しいのか?/
「よけいなこと」が多すぎる/
係長の「尻ぬぐい」の実態/
他人の不始末に押しつぶされそうだ/
「尻ぬぐい度」と業務の量の関係とは/
うすうす気づいていた「尻ぬぐい」の重要性/
管理者たる者の仕事

第3章 「泥をかぶる」係長

係長にもっと光を/
●実録「ある中堅社員の一日」/
年功賃金はきびしいシステム/
係長の仕事の範囲とは/
管理職とヒラを結ぶ係長の役割

第4章 「見通し」がほしい

仕事の満足はどこからくるのか/
なぜ会社を辞めたくなるのか/
社内転職で救われる/
「結果オーライ」の崩壊/
「見通し」ってなんだ?/
発見!「見通し」で説明できる退出職願望/
会社を辞めないほんとうの理由

第5章 「未来傾斜原理」とは何か

敵同士が協力しあう不思議/
裏切りがもたらす「囚人のジレンマ」/
共倒れしない囚人たちもいる!?/
「お返し」の強さ/
協調行動が生きのこりの秘訣/
「今後と もよろしく」の気持ちが大切/
未来傾斜原理とは何か/
未来傾斜システムの日本企業/
共に栄える条件/
「見通し指数」と「未来係数」の違い/
"石のうえにも三年"は未来傾斜型/
未来傾斜型人間は見通しの高い企業を選ぶ

第6章 経営者がゆらいでどうする

日本企業だけが特殊なのか/
企業とは「文化」を作り出す現場である/
絵に描いたようなホンダの「成功物語」/
ほんとうはメタメタだったホンダの「成功物語」/
プロフェッショナル・マネジメントの幻想/
あなたの「組織」はほんとうに組織か/
経営は集団の管理にあらず/
経営者がゆらいでどうする/
システムこそ企業の強さの源泉/
旗は高く掲げるべし/
「見通し」をあたえることの大切さ

第7章 「未来傾斜」の意味するもの

未来はかならずやってくる/
未来に何をのこすのか/
会社はつづいていくもの/
すごいヤツに会いたい/
未来をこの手に感じ取る力/
未来がくるのはあたりまえ!?/
「未来を割り引く」のほんとうの意味/
日本人はなぜ預金するのか/
つぎの世代に未来を手渡すのが仕事だ

文庫版あとがきに代えて——もっと自信をもたないと

これぞ年功序列という会社の例/
年俸制の胡散臭さ/
年功制でも差はつく/
年功制の意味/
次の仕事の内容で報いるシステム/
日本企業に対する評価はコロコロ変わる

『なぜ女性はケア労働をするのか 性別分業の再生産を超えて』

ケアの社会化は、性別分業を家庭から労働市場へと拡大、再生産させた。今後もケアは女性労働でありつづけるのだろうか。

「ケアの社会化」は、家庭の性別分業と結びつきながら、ケア労働市場のジェンダー構造を再生産している。なぜ、家庭の性別分業は再生産されるのか。なぜ、低賃金のケア労働に女性は従事するのか。本書は、家庭から労働市場への性別分業の拡大、再生産メカニズムを明らかにするとともに、女性の能動的実践と、社会変動の可能性を探る。

女性がケア労働をするのは、家父長制や権力によって強いられた選択のためなのでしょうか。それとも「ケア=女性の責任」という規範を内面化した女性の自発的選択のためなのでしょうか。この本で試みたのは、この二つの説明のどちらにも依拠せず、性別分業の再生産メカニズムを説明することです。女性は限られた選択肢のなかで試行錯誤しながら生きていくうちに、育児や介護というケア労働を担うことを選択している。また性別分業を不都合なものとみなせば、手持ちの資源を用いて現状を変えようと試みてもいる。本書ではこうした実践を、ポスト構造主義フェミニズムの「エージェンシー」概念を用いて説明しました。前半では家庭のケア、後半では社会化されたケアを対象に、性別分業の再生産における女性のエージェンシーを明らかにし、またワーカーズコレクティブや男性ヘルパーの実践をめぐる事例研究から、性別分業の変動の可能性について考察しました。

山根純佳 著(1976年生まれ。博士(社会学)。東京大学大学院人文社会系研究科、日本学術振興会特別研究員、法政大学非常勤講師をへて、2010年4月から山形大学人文学部講師。)
ISBN 978-4-326-65352-2
出版年月 2010年2月
判型・ページ数 四六判・340ページ
定価3,465円(本体価格3,300円)

はしがき

序 章 性別分業論に今何が必要とされているか
 1 ケアの社会化と変動──家庭から労働市場への性別分業の拡大と再編
 2 なぜ女性はケア労働をするのか──「物質構造決定論」と「主体選択論」
 3 近年のジェンダー研究の二つの潮流──「言説」と「資源配分」
 4 本書の枠組──エージェンシーと性別分業の再生産・変動

第一章 性別分業の再生産論の到達点と課題──「能動的実践」とは何か
 1 ギデンズとブルデューの「構造」と「実践」
 2 言説による実践の構造化─江原のジェンダー秩序論
 3 再生産論の乗りこえ──「構造」「実践」「権力」「カテゴリー還元的説明」

第二章 性別分業再生産におけるエージェンシー──なぜ女性は家庭に入るのか
 1 マルクス主義フェミニズムにおける「家父長制」と「唯物論」
 2 家庭における家父長制──デルフィの家内制生産様式
 3 労働市場における家父長制──ハートマンの「労働力の支配」
 4 家父長制概念への批判──性別分業再生産における男性と女性の実践
 5 家父長制から「ジェンダー」へ──労働市場の性別職域分離
 6 性別分業を選択する女性の利益──世帯単位の合理的選択

第三章 言説に対する批判的解釈実践──なぜ女性はケア責任を重視するのか
 1 無意識におけるケアの価値──チョドロウの母親業の再生産論
 2 女性の発達とケアの価値──ギリガンの「ケアの倫理」
 3 「ケアの倫理」への批判──女性の声の多様性と排除された声
 4 母親の経験とケアの価値──ケア倫理学における女性の価値
 5 ケア責任を構成する構造的条件──資源配分と他者の言説実践
 6 批判的解釈実践と変動の契機

第四章 家庭における交渉実践と変動──ケア労働の配分をめぐる交渉と権力
 1 男女間の「権力」をめぐる理論的対立──経済資源と言説
 2 権力資源と権力作用の多様性
 3 交渉実践のバリエーション──育児をめぐる交渉実践1
 4 交渉実践における意識と利益の変容──育児をめぐる交渉実践2
 5 介護責任をめぐる「見えない交渉」
 6 交渉実践による性別分業の変動と構造的限界

第五章 女性ケアワーカーの交渉実践
 1 ケア労働市場のジェンダー構造の再生産メカニズム
 2 介護労働市場におけるワーカーズコレクティブの位置
 3 ワーカーズコレクティブの交渉実践──自律的な労働を求めて
 4 ワーカーズコレクティブの実践の効果

第六章 男性ヘルパーの交渉実践と性別職域分離
 1 女性職における男性ヘルパーの位置
 2 男性ヘルパーの生存戦略──同化戦略、差異化戦略
 3 ケアワーカーの交渉実践の変動力と構造的限界

終章 性別分業の再生産を超えて
 1 エージェンシー概念の意義と貢献──構造決定論の乗りこえ
 2 性別分業の性支配性と解消策──結果の不平等と交渉力の格差
 3 今後の課題──「女性間の多様性」と「女性間の格差」

あとがき
参考文献
人名索引・事項索引

第5回ジェンダーコロキアム

書評セッション

山根純佳(2010)『なぜ女性はケア労働をするのか──性別分業の再生産を超えて』

日時:2010年7月1日(木)18:40-20:30

場所:東京大学法文1号館315号室(本郷キャンパス)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

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