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2010年7月27日火曜日

『EU市民権と市民意識の動態』

鈴木規子著
叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態 25
A5判/上製/312頁
初版年月日:2007/11/10
出版社: 慶應義塾大学出版会
ISBN:
978-4-7664-1422-6
(4-7664-1422-5)
Cコード:C3331
税込価格:3,780円

EU市民権がアイデンティティをどう変えているか。フランスで、最も多いEU諸国出身者であるポルトガル系移民を事例に、EU市民権制定後(1992年マーストリヒト条約)の市民意識やアイデンティティの変容に関する現状分析を、文書分析とフランスでの現地調査(アンケートやインタビュー調査)をもとに行う。
EU市民権はポストナショナルな市民権か、それともナショナリズムを復活させるのか?というEU市民権のパラドクスに迫り、ヨーロッパにおけるエスニック・マイノリティとの共存を考える。日本の外国人地方参政権を考えるうえでも、フランスのポルトガル系市議の市民意識を徹底分析した本書は参考にできる一冊である。


目次
巻頭言       安西祐一郎
 刊行にあたって   小林 良彰

序章
 I 本書の目的
 II 研究の方法および調査の概要
 III 本書の構成

第1部 EU市民権の法的・政治的・社会的影響――EUと国家
第1章 EU市民権の歴史的経緯と内容
 はじめに
 I EU市民権の歴史的経緯
 II 欧州連合「市民権」
 III EU市民権の特徴
 おわりに

第2章 構成国におけるEU市民権の影響
 はじめに
 I EU市民への居住国における参政権に関する2つの欧州理事会指令
 II 欧州議会選挙に関する指令93/109 の適用と欧州議会選挙の結果
 III 欧州議会選挙とEU市民権に関する問題点
 IV 居住国における地方参政権に関する指令94/80と構成国の適用
 V 外国人地方参政権の実態とEU市民権の予想
 結びにかえて――外国人地方参政権に関するEU市民権の問題提起

第3章 EU市民権の影響――ドイツの例
 はじめに
 I ドイツ国籍法改正
 II 社会的要因
 III 政権交代による影響
 IV EU市民権の影響
 結び

第4章 EU市民権の影響――フランスの例
 はじめに
 I 指令94/80の適用が遅れた原因
 II EU市民への参政権の内容
 III EU市民権の社会的・政治的影響――EU市民からすべての外国人へ
 IV EU市民権の帰結――国民国家のゆらぎとEUレベルでの収斂
 結び

第2部 EU市民たちの地方参政権行使と市民意識の実態――フランスのポルトガル人を事例に
第5章 フランス市町村議会選挙へのEU市民の参加
 はじめに
 I 2001年フランス市町村議会選挙の結果
 II 選挙権行使と意識の関係――「ヨーロッパ人」アイデンティティーの形成か
 III 移民と母国および居住国の国民との意識の違い――ユーロバロメーターをもとに
 結び

第6章 フランスにおけるポルトガル系移民――移住の歴史、特徴、政治文化
はじめに
 I 戦後フランスの移民政策から統合政策へ
 II ポルトガルからの移民――移住の歴史にみる2つの波
 III ポルトガル大量移民の「プッシュ―プル」要因
 IV 移民の社会的状況
 V フランスのポルトガル系移民たちの人口
 VI フランス社会への統合
 VII ポルトガル系移民のアイデンティティー
 VIII ポルトガル系移民の政治文化
 結び

第7章 ポルトガル人たちのEU市民権行使と市民意識に関する調査結果
――ポルトガル人市議のデモグラフィー
 はじめに
 I 「ポルトガル国籍のみ」と「フランス国籍あり」の議員の数と国籍の分類
 II 議員の性別
 III 議員の年齢
 IV 出生地
 V 議員の役職
 VI フランスへの移住
 VII フランスでの居住歴
 VIII フランスでの居住地
 IX 最終学歴
 X 職業
 XI 所属政党
 XII アソシアシオンへの参加

第8章 ポルトガル人市議の投票行動よ市民意識
 はじめに
 I ポルトガル人議員たちの地方参政権の行使の実態
 II EU構成国出身者に対する地方参政権の付与について
 III 投票したときの意識と国籍
 IV 市民意識と国籍
 V 投票したときの意識と市民意識に関する考察
 VI アイデンティティーと国籍
 VII EU市民権について

終章
 I EU市民権の行使の実態
 II ポルトガル人議員のアイデンティティーとヨーロッパ人意識
 III EU市民権のパラドクス
 IV EU市民からすべての外国人への地方参政権の付与について
 V 今後のEU市民権のゆくえ

追補 「調査について」
参考文献一覧
あとがき
索引


追補目次
A 在仏ポルトガル人議員に対する調査の概要
B インタヴュー調査対象者リスト
C EU市民権に関するアンケート(原文および日本語訳)
D ポルトガル国籍のみの市議会議員のプロフィール
E アンケート回答結果
F 調査資料 「大使館2004」
G EU市民権の規定


鈴木規子(すずき のりこ)
金城学院大学非常勤講師。
1972年生まれ。2003年、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。博士(法学)。フランス・ストラスブール大学政治学院DEA(博士論文提出資格)取得。
主な研究分野は、政治社会学およびフランス政治・社会・教育。
主要論文に、「外国人から市民へ――投票するEU市民」田中俊郎・庄司克宏編『EUと市民』(慶應義塾大学出版会、2005年)、「ヨーロッパ市民権制定と『ヨーロッパ人』アイデンティティーの形成――外国人地方参政権を認めたフランスの結果」『日本EU学会年報』第23号(2003年)、「フランスにおける市民性教育の現状と課題――政治・社会学的視点からの『市民性』概念の整理と現状分析――」『日仏教育学会年報』第12号(2005年版)、«
Les électeurs communautaires : problèmes de l'application de la
directive 94/80 en France », Journal of Political Science and
Sociology, No.5, 2006など。

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