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2010年6月9日水曜日

吉田健一『時間』『ヨオロッパの世紀末』『ヨオロッパの人間』

『時間』
# 文庫: 280ページ
# 出版社: 講談社 (1998/10/9)
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4061976346
# ISBN-13: 978-4061976344
# 発売日: 1998/10/9

*時間は吉田の生涯のテーマだったが、最晩年にかかれたこの批評は吉田の思索の最高峰であると同時に、日本語という言語の内懐でなされた哲学の試みの最高の達成でもある。
*人生に於る時の流れの意味を考察した名文。文化が真に成熟したのは常識に反し十八世紀西欧だとの独創『ヨオロッパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点。心和む哲学的時間論。
*人生の中で時間が流れていく、ということの意味を考え現代文明の偏見を脱して捉われの無い自由な自分となる。文化の真の円熟や優雅さは十八世紀西欧にあるとの『ヨオロツパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点にして、心和む哲学的な時間論。『時間』を書き上げると残っているものを全部出したと感じる、と述懐した批評家吉田健一の代表作。

『ヨオロッパの世紀末』
■青194-2
■体裁=文庫判
■品切重版未定
■1994年10月17日
■ISBN4-00-331942-7
ヨーロッパとは何か.我々は誤解を重ねてきたにすぎない——ヨーロッパがヨーロッパとしての性格を完成した十八世紀,堕落に転じた十九世紀,そして再生の季節としての世紀末を論じた本書は,その比類ない歴史感覚でそれまでのヨーロッパ観,世紀末観を根底から覆した.著者円熟期の最も薫りたかい果実である.(解説
辻邦生)

世紀末文学は俗悪な十九世紀に対する反抗であり、十八世紀の成熟した文明の再評価だという認識をうちだした画期的な批評。近代日本文学は俗悪なヨーロッパ十九世紀文学をさらに俗悪にしたものであり、この本は日本的な「文学」概念に対する根本的な批判でもある。野間文芸賞受賞。

『ヨオロッパの人間—現代日本のエッセイ』
文芸文庫
ヨオロッパノニンゲン
ヨオロッパの人間
現代日本のエッセイ
著者: 吉田健一

発行年月日:1994/10/10
サイズ:A6判
ページ数:286
ISBN:978-4-06-196295-8

定価(税込):999円
ヨオロッパ世界はその精神の故郷が地中海にあってその文明の円熟の頂点は18世紀に極まるとみる著者は、人間が人間であることの限界を認め、その人間らしさを重視しつつ、エリザベス一世、ヴォルテエル等の魅力からランボオ、ヴァレリイ他の鮮かな人間像へと説き及ぶ。18世紀の優雅と哀愁を回顧し、諦念から出発した人生のそれ故の喜びと楽しみを、芳純な文体で語る歴史随筆。

『できる社員は「やり過ごす」』

「できる会社にはやり過ごす能力のある社員が居る」というお話

A6判 並製 272 ページ
978-4-532-19135-1
2002年7月発売
高橋伸夫著
日本経済新聞出版社

日本企業の本当の強さを再発見!
上司の無理難題をものともせずに「やり過ごし」、手のかかる部下の面倒をみて、「尻ぬぐい」「泥かぶり」もいとわない、奮闘するミドルの実態を検証・分析、その驚くべ役割を解明。
これまでほとんど真面目に取り上げられることがなかった日本企業の日常を、多くの企業に対するアンケート調査と科学的な分析によって明らかにしたユニークな本です。これを読めば、現状よりも将来に比重を置く「未来傾斜論理」や年功制の強さなど、日本型組織の意外な強さを再認識できるはず。自信を喪失し、元気をなくしている日本企業とそこで働く会社員にエールを贈る一冊です。

文庫版まえがき

第1章 「やり過ごし」の効能

やり過ごしてますか/
やや、こんなにやり過ごしている/
上司の指示は「打ちあげ花火」/
有能な部下は「やり過ごす」!?/
上司の「バカ殿状況」にいかに対処すべきか/
「やり過ごし」上手な部下を育てる

第2章 「尻ぬぐい」で組織はまわる

「真夜中のラーメン屋は大繁昌」のワケ/
だれがいちばん忙しいのか?/
「よけいなこと」が多すぎる/
係長の「尻ぬぐい」の実態/
他人の不始末に押しつぶされそうだ/
「尻ぬぐい度」と業務の量の関係とは/
うすうす気づいていた「尻ぬぐい」の重要性/
管理者たる者の仕事

第3章 「泥をかぶる」係長

係長にもっと光を/
●実録「ある中堅社員の一日」/
年功賃金はきびしいシステム/
係長の仕事の範囲とは/
管理職とヒラを結ぶ係長の役割

第4章 「見通し」がほしい

仕事の満足はどこからくるのか/
なぜ会社を辞めたくなるのか/
社内転職で救われる/
「結果オーライ」の崩壊/
「見通し」ってなんだ?/
発見!「見通し」で説明できる退出職願望/
会社を辞めないほんとうの理由

第5章 「未来傾斜原理」とは何か

敵同士が協力しあう不思議/
裏切りがもたらす「囚人のジレンマ」/
共倒れしない囚人たちもいる!?/
「お返し」の強さ/
協調行動が生きのこりの秘訣/
「今後と もよろしく」の気持ちが大切/
未来傾斜原理とは何か/
未来傾斜システムの日本企業/
共に栄える条件/
「見通し指数」と「未来係数」の違い/
"石のうえにも三年"は未来傾斜型/
未来傾斜型人間は見通しの高い企業を選ぶ

第6章 経営者がゆらいでどうする

日本企業だけが特殊なのか/
企業とは「文化」を作り出す現場である/
絵に描いたようなホンダの「成功物語」/
ほんとうはメタメタだったホンダの「成功物語」/
プロフェッショナル・マネジメントの幻想/
あなたの「組織」はほんとうに組織か/
経営は集団の管理にあらず/
経営者がゆらいでどうする/
システムこそ企業の強さの源泉/
旗は高く掲げるべし/
「見通し」をあたえることの大切さ

第7章 「未来傾斜」の意味するもの

未来はかならずやってくる/
未来に何をのこすのか/
会社はつづいていくもの/
すごいヤツに会いたい/
未来をこの手に感じ取る力/
未来がくるのはあたりまえ!?/
「未来を割り引く」のほんとうの意味/
日本人はなぜ預金するのか/
つぎの世代に未来を手渡すのが仕事だ

文庫版あとがきに代えて——もっと自信をもたないと

これぞ年功序列という会社の例/
年俸制の胡散臭さ/
年功制でも差はつく/
年功制の意味/
次の仕事の内容で報いるシステム/
日本企業に対する評価はコロコロ変わる

『なぜ女性はケア労働をするのか 性別分業の再生産を超えて』

ケアの社会化は、性別分業を家庭から労働市場へと拡大、再生産させた。今後もケアは女性労働でありつづけるのだろうか。

「ケアの社会化」は、家庭の性別分業と結びつきながら、ケア労働市場のジェンダー構造を再生産している。なぜ、家庭の性別分業は再生産されるのか。なぜ、低賃金のケア労働に女性は従事するのか。本書は、家庭から労働市場への性別分業の拡大、再生産メカニズムを明らかにするとともに、女性の能動的実践と、社会変動の可能性を探る。

女性がケア労働をするのは、家父長制や権力によって強いられた選択のためなのでしょうか。それとも「ケア=女性の責任」という規範を内面化した女性の自発的選択のためなのでしょうか。この本で試みたのは、この二つの説明のどちらにも依拠せず、性別分業の再生産メカニズムを説明することです。女性は限られた選択肢のなかで試行錯誤しながら生きていくうちに、育児や介護というケア労働を担うことを選択している。また性別分業を不都合なものとみなせば、手持ちの資源を用いて現状を変えようと試みてもいる。本書ではこうした実践を、ポスト構造主義フェミニズムの「エージェンシー」概念を用いて説明しました。前半では家庭のケア、後半では社会化されたケアを対象に、性別分業の再生産における女性のエージェンシーを明らかにし、またワーカーズコレクティブや男性ヘルパーの実践をめぐる事例研究から、性別分業の変動の可能性について考察しました。

山根純佳 著(1976年生まれ。博士(社会学)。東京大学大学院人文社会系研究科、日本学術振興会特別研究員、法政大学非常勤講師をへて、2010年4月から山形大学人文学部講師。)
ISBN 978-4-326-65352-2
出版年月 2010年2月
判型・ページ数 四六判・340ページ
定価3,465円(本体価格3,300円)

はしがき

序 章 性別分業論に今何が必要とされているか
 1 ケアの社会化と変動──家庭から労働市場への性別分業の拡大と再編
 2 なぜ女性はケア労働をするのか──「物質構造決定論」と「主体選択論」
 3 近年のジェンダー研究の二つの潮流──「言説」と「資源配分」
 4 本書の枠組──エージェンシーと性別分業の再生産・変動

第一章 性別分業の再生産論の到達点と課題──「能動的実践」とは何か
 1 ギデンズとブルデューの「構造」と「実践」
 2 言説による実践の構造化─江原のジェンダー秩序論
 3 再生産論の乗りこえ──「構造」「実践」「権力」「カテゴリー還元的説明」

第二章 性別分業再生産におけるエージェンシー──なぜ女性は家庭に入るのか
 1 マルクス主義フェミニズムにおける「家父長制」と「唯物論」
 2 家庭における家父長制──デルフィの家内制生産様式
 3 労働市場における家父長制──ハートマンの「労働力の支配」
 4 家父長制概念への批判──性別分業再生産における男性と女性の実践
 5 家父長制から「ジェンダー」へ──労働市場の性別職域分離
 6 性別分業を選択する女性の利益──世帯単位の合理的選択

第三章 言説に対する批判的解釈実践──なぜ女性はケア責任を重視するのか
 1 無意識におけるケアの価値──チョドロウの母親業の再生産論
 2 女性の発達とケアの価値──ギリガンの「ケアの倫理」
 3 「ケアの倫理」への批判──女性の声の多様性と排除された声
 4 母親の経験とケアの価値──ケア倫理学における女性の価値
 5 ケア責任を構成する構造的条件──資源配分と他者の言説実践
 6 批判的解釈実践と変動の契機

第四章 家庭における交渉実践と変動──ケア労働の配分をめぐる交渉と権力
 1 男女間の「権力」をめぐる理論的対立──経済資源と言説
 2 権力資源と権力作用の多様性
 3 交渉実践のバリエーション──育児をめぐる交渉実践1
 4 交渉実践における意識と利益の変容──育児をめぐる交渉実践2
 5 介護責任をめぐる「見えない交渉」
 6 交渉実践による性別分業の変動と構造的限界

第五章 女性ケアワーカーの交渉実践
 1 ケア労働市場のジェンダー構造の再生産メカニズム
 2 介護労働市場におけるワーカーズコレクティブの位置
 3 ワーカーズコレクティブの交渉実践──自律的な労働を求めて
 4 ワーカーズコレクティブの実践の効果

第六章 男性ヘルパーの交渉実践と性別職域分離
 1 女性職における男性ヘルパーの位置
 2 男性ヘルパーの生存戦略──同化戦略、差異化戦略
 3 ケアワーカーの交渉実践の変動力と構造的限界

終章 性別分業の再生産を超えて
 1 エージェンシー概念の意義と貢献──構造決定論の乗りこえ
 2 性別分業の性支配性と解消策──結果の不平等と交渉力の格差
 3 今後の課題──「女性間の多様性」と「女性間の格差」

あとがき
参考文献
人名索引・事項索引

第5回ジェンダーコロキアム

書評セッション

山根純佳(2010)『なぜ女性はケア労働をするのか──性別分業の再生産を超えて』

日時:2010年7月1日(木)18:40-20:30

場所:東京大学法文1号館315号室(本郷キャンパス)
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html

『極北と森林の記憶 イヌイットと北西海岸インディアンの版画』

『極北と森林の記憶 イヌイットと北西海岸インディアンの版画』
齋藤玲子
出版社:昭和堂(京都)
発行:2010年3月
ISBN:9784812209486
価格:¥4410 (本体¥4200+税)

[要旨]
カナダ先住民自身による表現は、世界経済のグローバル化や国家政策、欧米のアート市場と深く関わりながら、「版画」という技術との出会いにより現代アートとして花開いた。世界でも稀に見るコレクションの数々を、丹念な研究成果に基づきじっくりと紹介する。
[目次]
カナダ先住民のアート世界(国立民族学博物館のカナダ先住民版画コレクションについて;カナダ先住民社会とアートの展開);極北のハンターにしてアーティスト:イヌイットの版画(生きることの歌—カナダ・イヌイットの版画の魅力;テーマ解説)
[出版社商品紹介]
極寒の自然環境の中で培われた奥深き世界が表現される、カナダ先住民の版画の数々を、国内一のコレクションで堪能する。

2010年度
2009年度
2008年度
2007年度
共同研究課題一覧
研究会開催予定


 共同研究:カナダにおける先住民芸術の歴史的展開と知的所有権問題−国立民族学博物館所蔵の北西海岸インディアンとイヌイットの版画の整理と分析を通して

代表者 齋藤 玲子
目的
本研究の目的は、国立民族学博物館に所蔵されている約700点の北西海岸インディアンの版画(シルク・スクリーン)と約300点のイヌイットの版画を整理・分析し、版画という新たな技法の導入とその展開が、両者の社会に与えた影響を考察することである。具体的には次の三つのことを明らかにする。
(1)北西海岸インディアンのシルク・スクリーンとイヌイットの版画のそれぞれについて様式分類を行い、それぞれ美術様式の地域的分布と通時的変遷を明らかにする。
(2)様式の地域的分布と通時的変遷が、20世紀後半に両地域の諸社会が経験した社会・文化の変容およびその政治・経済的状況といかに連動しているのかを地域差に着目しながら跡づける。
(3)モチーフの複製を促進した版画の技術と知的所有権(財産権)の問題の関係を検討する。

2010年度
成果は、国立民族学博物館調査報告(SER)等での刊行を希望している。研究報告を中心に所蔵品の概略やリストも付し、以下の3部構成とする予定である。

1. コレクションの概要として、収集の経緯、資料群の特徴、代表的な資料の解説等を記載
2. 研究報告として、民族・地域別の版画制作の歴史、文化復興や民族芸術における位置づけ、教育との関係、知的財産権の現状などの論考を収録
3. 資料目録および関連文献リスト

夏までに、補足的な分析作業と討論を行い、執筆要領等を決めて分担し、原稿集約後の秋以降に編集会議を開催し、年度内にまとめる。

館内研究員 岸上 伸啓
館外研究員 渥美 一弥、伊藤 敦規、岩崎 まさみ、大村 敬一、久保田 亮、小谷 凱宣、小林 正佳、
佐々木 利和、スチュアート ヘンリ、立川 陽仁、田主 誠、広瀬 健一郎、益子 待也

研究会
2010年6月19日(土)15:30〜18:00(国立民族学博物館 第1演習室)
2010年6月20日(日)9:00〜13:00(国立民族学博物館 第1演習室)
成果報告刊行にむけての編集準備および論文要旨の発表と討論(齋藤玲子ほか、全員)

2009年度
平成19・20年度には北西海岸インディアンおよびイヌイットの版画資料を整理・分析するとともに、版画制作の歴史に関する研究発表等を行なった。イヌイット資料には、絵画も多数あり、当初把握していたよりも100点近く多い関連資料があることがわかったため、引き続き、整理分析を行なうこととする。
21年度はこれまでの分析データや研究発表を基に、版画制作が先住民社会に与えた影響や知的所有権に関する研究会を行なう。他地域の状況と比較するため、また先住民芸術に関わる法律や美術の最新動向を研究するため、専門家を特別講師として招聘する。
秋の特別展(仮称「自然のこえ、命のかたち—カナダ先住民の生み出す美」)では、研究成果の提供等の協力をする。カナダ学会においても、シンポジウムを行い、成果を公開する。

館内研究員 岸上 伸啓、佐々木 利和
館外研究員 渥美 一弥、伊藤 敦規、岩崎 まさみ、大村 敬一、久保田 亮、小谷 凱宣、小林 正佳、
スチュアート ヘンリ、立川 陽仁、谷本 一之、田主 誠、広瀬 健一郎、益子 待也

研究会
2009年5月8日(金)9:00〜17:00(国立民族学博物館 展示準備室)
2009年5月9日(土)13:30〜17:30(国立民族学博物館 演習室または展示準備室)
2009年5月10日(日)9:30〜12:00(国立民族学博物館 第1演習室)
2009年5月11日(月)9:00〜12:00(国立民族学博物館 展示準備室)
先住民族芸術と知的財産権の問題
葛野 浩昭 氏「サーミの民族芸術と知的財産権」(仮)
大村 敬一 氏「イヌイット・アートと知的財産権」(仮)
小林 正佳 氏「『イヌイット美術』と『イヌイットの美術』」
討論・打ち合わせ
イヌイット版画資料の分析、データの整理
2009年7月11日(土)14:00〜18:00(天理大学研究棟総合教育研究センター第1共同研究室)
2009年7月12日(日)10:00〜12:00(天理大学研究棟総合教育研究センター第1共同研究室)
【先住民族芸術と知的財産権および教育について】
久保田 亮「ユッピック舞台芸術と知的財産権:エスキモー・ダンスの創作・流通・消費をてがかりに」(仮)
伊藤敦規「先住民の知的財産権問題の法的枠組みの整理と人類学的理解に向けて」(仮)
広瀬健一郎「先住民教育における先住民アートの史的位置について:先住民アートに関するカナダ政府の政策の整理を中心に」(仮)
2009年11月28日(土)14:00〜17:00(国立民族学博物館 第2演習室)
2009年11月29日(日)9:30〜12:30(国立民族学博物館 第2演習室)
民族文化と知的財産権の諸課題
齋藤玲子「北西海岸先住民版画の出版に関する著作権の状況について」(仮)
岸上伸啓「イヌイット版画の出版に関する著作権の状況」(仮)
青柳由香「伝統的知識・遺伝資源・フォークロア —知的財産としての保護の概要」(仮)
渡部俊英「現行知的財産法によるフォークロアの保護」(仮)
2010年1月23日(土)13:30〜17:30(国立民族学博物館 第4演習室)
2010年1月24日(日)10:00〜12:00(国立民族学博物館 第1演習室)
『民族芸術と知的財産権の諸課題』
森木 佳世子「イヌイット版画に使われる和紙について」(仮)
鈴木 修二「先住民族芸術と著作権」(仮)
研究のまとめと成果公開に関する打ち合わせ

2008年度
平成19年度には北西海岸インディアン資料を整理・分析するとともに、版画技法や知的財産権の基礎的事項に関する研究発表を行なった。
20年度はそれらのデータや発表を基に、版画が北西海岸インディアン社会に与えた影響等について研究を行う。夏期には北方民族博物館において、北西海岸インディアン文化の特別展を開催し、成果の一部を公表する。
続いて、イヌイットの版画および絵画資料の整理・分析を行ない、平行して社会との関係や知的所有権の問題を考察する研究会を開く。
必要に応じて、特別講師を招聘する。

館内研究員 岸上 伸啓、佐々木 利和
館外研究員 渥美 一弥、伊藤 敦規、岩崎 まさみ、大村 敬一、久保田 亮、小谷 凱宣、小林 正佳、スチュアート ヘンリ、立川 陽仁、谷本
一之、田主 誠、広瀬 健一郎、益子 待也

研究会
2008年6月7日(土)13:00〜18:00(国立民族学博物館第3演習室)
「北西海岸インディアンの版画の歴史と現状」
渥美一弥「サーニッチにおける文化・芸術の復興」(仮)
大村敬一「シルクスクリーン誕生の経緯と展開—ヴィクトリアでの聞き取りを中心に—」(仮)
平成19年度の報告ならびに20年度の計画等打ち合わせ
2008年7月20日(土)13:00〜18:30(北海道立北方民族博物館)
「北西海岸インディアンのアート」
大村敬一(大阪大学准教授)「北西海岸インディアンの研究史と芸術」(仮)
立川陽仁(三重大学准教授)「コミュニティのなかの先住民アーティスト−キャンベル・リバーのクワクワカワクゥの例から−」(仮)
益子待也(金沢学院大学教授)「美術の人類学 〜北西海岸インディアンを事例として〜」(仮)
2008年10月23日(木)〜24日(金)9:00〜17:00(展示作業室)
イヌイット版画資料の分析、データの整理
参加者:伊藤、大村、小谷、小林、齋藤、田主、岸上、佐々木
2008年10月25日(土)9:00〜17:00(国立民族学博物館第2演習室)
イヌイット版画資料の分析、データの整理
参加者:伊藤、大村、小谷、小林、齋藤、田主、岸上、佐々木
2008年10月26日(日)10:00〜12:00(国立民族学博物館第2演習室)
イヌイット版画資料の分類とまとめ
参加者:伊藤、大村、小谷、小林、齋藤、田主、岸上、佐々木
2008年12月20日(土)13:30〜17:00(北海道立近代美術館)
2008年12月21日(日)10:30〜17:30(北海道立近代美術館)
イヌイット・アートの歴史と社会変化

研究成果
民博が所有するイヌイットの版画および絵画資料約270点を閲覧し、タイトル・作家名・制作年等のデータの確認・補充、モチーフ等の分析をおこなった。当初、資料数は約300点と見積もっていたが、新たな版画および関連する絵画資料の所蔵がわかり、研究すべき対象が約400点となった。熟覧できていない
120点余りの版画は、21年度に引き続き分析予定であるが、3分の2以上の資料を見た結果、イヌイット版画の最盛期といえる1970〜80年代を中心に、カナダ極北圏の複数のコミュニティから代表的な作家の作品がもれなく含まれていることが分かった。また、技法の種別も、制作数の多寡を反映しつつ、バランスよく収集されていることも確認できた。
研究会では、イヌイット・アートの展開とそれを進めた社会状況や関係者を中心に発表がおこなわれ、版画が先住民社会に与えた影響という課題への背景となる情報が共有された。
また、前年度に分析等をおこなった北西海岸インディアンの版画資料の一部については、その成立の経緯や現地社会の状況などの研究発表等もふまえ、一部を北海道立北方民族博物館および網走市立美術館で展示し、図録も作成した。併せて、公開研究会も開催した。

2007年度
国立民族学博物館に所蔵されている、できるだけ多くの北西海岸インディアンとのイヌイットの版画を実見し、画像を含むデータベース化(制作年、制作者、地域、モチーフなどの基礎的情報)を行うとともに、共同研究会において分析の手法や所蔵品の内容・特徴について検討する。また、国内において北西海岸インディアンのシルク・スクリーンとイヌイットの版画を多数所蔵する北海道立北方民族博物館においても調査を行い、比較検討をする。

館内研究員 岸上 伸啓
館外研究員 渥美 一弥、伊藤 敦規、岩崎 まさみ(客員)、大村 敬一、久保田 亮、小谷 凱宣、小林 正佳、スチュアート ヘンリ、立川
陽仁、谷本 一之、田主 誠、益子 待也

研究会
2007年10月5日(金)10:00〜17:00(国立民族学博物館 第4演習室ほか)
2007年10月6日(土)10:00〜18:00(国立民族学博物館 第4演習室ほか)
「民博所蔵の北西海岸インディアンとイヌイットの版画の概要について/研究計画の打ち合わせ」

・10月5日(金)10:00〜17:00
 資料およびデータベースの閲覧 会場:情報管理施設 および収蔵庫
 参加者:齋藤、大村、岸上、小谷、田主

・10月6日(土)10:00〜13:00
 資料調査等の計画、打ち合わせ
 参加者:前日のメンバー、および小林

・10月6日(土)13:00〜18:00
 参加者:全員
 研究会「民博所蔵の北西海岸インディアンとイヌイットの版画の概要/研究計画の打ち合わせ」
 ・関連分野のこれまでの研究について発表(全員 10〜15分程度)
 ・「民博所蔵の版画資料の概要について」 齋藤ほか
 ・「資料収集時の状況について」 小谷
 ・「2001年度受け入れのアムウェイ寄贈(イヌイット・アート)資料について」 岸上
 ・今後の研究の進め方、成果公開の方法
 ・次回の研究会の日程・内容
2008年2月8日(金)9:00〜17:00(国立民族学博物館 展示作業室・第3演習室)
2008年2月9日(土)10:00〜17:30(国立民族学博物館 展示作業室・第3演習室)
「北西海岸インディアンの版画に関する技法および関連法律について」

研究成果
平成19年度には、民博が所有する北西海岸インディアンの版画資料全てを閲覧し、タイトル・作家名・制作年等のデータの確認・補充、モチーフ等の分析を行なった。その結果、1970年代半ばのシルクスクリーン制作の初期から、様式を確立しつつ独創性も織りこまれてゆく開花期とも言える80年代半ばの作品が、一定の地域・民族グループに偏ることなく、収集されていることがわかった。当時、20〜30歳代の若手作家で、現在も先駆者として活躍している人が多いことも確認できた。
併せて、平成20年度に北海道立北方民族博物館および網走市立美術館で展示予定の作品を選定することも行なった。
また、版画技法や知的財産権の基礎的事項等に関する研究発表を行ない、研究の課題について討論することができた。今後予定している、版画が北西海岸インディアン社会に与えた影響等に関する予備的考察や、イヌイット版画資料の分析の視点を得ることができた。

『太らない時間に食べる!体内時計ダイエット』

榛葉繁紀/監修

出版社名 マガジンハウス
出版年月 2010年5月
ISBNコード 978-4-8387-2104-7
(4-8387-2104-8)
税込価格 1,365円
頁数・縦 95P 21cm

I「食べる時間」がポイントのダイエット
○太る原因は「何を」より「いつ食べたか」にある
○体重を左右する「体内時計」とは?
○体内時計ダイエットの鉄則

II 体内時計ダイエットの食事法則
○この1600kcalタイムテーブルで太らない
○400kcal    朝食の法則  手抜きでもいい、とにかくしっかり摂る!
○450~600kcal 昼食の法則  1日のごちそうはここでガッツリ
○150~250kcal 分食の法則  夕食の遅い人は、太らないために摂ろう
○500~700kcal 夕食の法則  水曜をカロリー最大に。魚をわすれずに
○300kcal    21~22時の夕食  夕食抜きの人に、ぎりぎり許されるごはん
○夜食の法則  安眠効果のある飲み物でホッと7

III 体内時計を整えるエクササイズ
◎夜 リラックスエクササイズ 深い眠りを準備する
◎朝 スッキリエクササイズ 主時計をきちんと働かせる
◎夕 しっかりエクササイズ 消化を促進、体調を整える

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
『太らない』時計遺伝子の大発見!脂肪をためない時間なら、外食、コンビニ、夜食(21時台)もOK。「いつ食べるか」だけで痩せられる時間割ダイエットの誕生。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「食べる時間」がポイントのダイエット
(あなたは今日、朝食を食べましたか?体内時計ダイエットの秘密がここに/
体内時計という精緻なるシステム。それは生物が勝ち取った優れた機能/
体内時計ダイエットの鉄則、すべての基本は早起きにあり)/

第2章 体内時計ダイエットの食事法則
(この1600キロカロリーのタイムテーブルで太らない!/
400キロカロリー朝食の法則─手抜きでもいい、とにかくかならずとる!/
450〜600キロカロリー昼食の法則─1日のごちそうはここでガッツリ/
150〜250キロカロリー分食の法則─夕食の遅い人は、太らないためにとろう ほか)/

第3章 体内時計を整えるエクササイズ
(夜のリラックスエクササイズ─深い眠りを準備する/
朝のスッキリエクササイズ─主時計をきちんと働かせる/
夕方のキックボクササイズ─エネルギー消費を狙う ほか)

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
榛葉繁紀(シンバシゲキ)
静岡県立大学大学院薬学研究科修了。米国ベイラー医科大学でのリサーチアソシエイトを経て、日本大学薬学部准教授。脂肪細胞、体内時計に着目し、脂肪蓄積のメカニズム解明の研究で知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

『図書館の歩む道—ランガナタン博士の五法則に学ぶ (JLA図書館実践シリーズ 15) 』

ランガナタン著(1892〜1972年。インド生まれ。図書館学者。コロン分類法を編集。マドラス大学図書館長等を務め、インド図書館協会を設立。 )
竹内 哲(さとる)解説
税込価格: ¥2,100 (本体 : ¥2,000)
出版 : 日本図書館協会
サイズ : 19cm / 295p
ISBN : 978-4-8204-1000-3
発行年月 : 2010.4

ランガナタン「図書館学の五法則」の要約と解説。

目次
1部 ランガナタンの世界 /2部 図書館学の五法則(原著本文の要約) /3部 ランガナタン博士をめぐって

国際的な図書館学者ランガナタン博士の著作「図書館学の五法則」第2版の大まかな解説書。1957年の原著第2版(初版は1931年)の内容をほぼ3分の1に圧縮した要約のほか、ランガナタン博士の考え方や五法則の概要、これまでの経歴などもまとめる。

『ウィーン—多民族文化のフーガ』

書名: ウィーン 多民族文化のフーガ
うぃーん たみんぞくぶんかのふーが

ISBN(10/13桁): 978-4-469-21328-7

著者名: 饗庭孝男、伊藤哲夫、加藤雅彦、小宮正安、西原稔、檜山哲彦、平田達治
著(あえばたかお、いとうてつお、かとうまさひこ、こみやまさやす、にしはらみのる、ひやまてつひこ、ひらたたつじ)

定価: 2,520円(四六判・370頁)

都市形成と文化醸成のダイナミズムを探る
内容説明:
ヨーロッパの十字路に位置するウィーン。そこは、各地から多様な文化が流れ込み独自の融合を遂げた文化形成の舞台となった。多民族の文化がフーガのようにからみ合い、いかにして20世紀をリードした豊穣なポリフォニック文化が形成されたのか。都市形成と文化醸成のダイナミズムを多彩な視点から解明する。

主要目次: まえがき

オーストリア=ハンガリー帝国地図

1910年頃のウィーン主要部地図

1 多民族文化の都(加藤雅彦)
一 混血都市ウィーン
二 ウィーン宮廷へ豊穣の西欧文化
三 ドナウ多民族帝都
四 世紀末文化の多民族性

2 ウィーンの都市空間と建築(伊藤哲夫)
一 古代ローマ期——ゲルマンに対する防衛拠点
二 ロマネスク期——ヨーロッパ交易の十字路として発展
三 ゴティク期——帝国の宮廷都市へ
四 ルネサンス期——トルコとの戦いと宮廷の整備
五 バロック期——繁栄する多民族の帝都
六 新古典主義・ビーダーマイヤー期——勃興する市民が支えた都市文化
七 近代都市形成期——世紀末文化が花開いたメトロポリス

3 ウィーン・バロック——その形態と思考(饗庭孝男)
一 感性の祝宴としてのバロック
二 ウィーン・バロックの呼び水——反宗教改革と対トルコ戦の勝利
三 ウィーン・バロック建築探訪
四 バロック期に培われたウィーン人の死生観
五 イタリア人芸術家に先導され、独自の定着をみたウィーン・バロック

4 「音楽の都」ウィーンの秘密——宮廷と「多民族」音楽都市(小宮正安)
一 ウィーン・フィルの「調和」
二 帝国の音楽
三 「宮廷音楽家」列伝
四 壁の中の音楽
五 「音楽都市」のトポロジー
六 ドイツ音楽の中心として

5 劇場都市ウィーンとオペラの世界——ジングシュピール文化の形成を中心に(西原 稔)
一 オペラという理想
二 ウィーンのオペラ様式の成立
三 モーツァルトとオペラ

6 学際都市ウィーン(檜山哲彦)
一 新たな時代の風
二 閉塞する伝統に挑む
三 強靱な自己観察が切り拓く新たな時代

7 文化メトロポーレ・ウィーンの光と影——シュニッツラーの作品に映し出された十九世紀末ウィーン(平田達治)
一 城塞都市から文化メトロポーレへ
二 世紀末の円形都市ウィーンを舞台にした『輪舞』

あとがき
写真・図版出典一覧
著者紹介

ウィーンは古来ヨーロッパにおける東西南北を結ぶ交通の要衝に位置し、ローマ帝国の北辺の前線基地としてローマとゲルマンの接点となったことから始まり、近世にはオスマン・トルコと西欧キリスト教世界が対峙したときの最前線となり、冷戦時代には東西両陣営の接点ともなった。そこでは、ゲルマン、スラヴ、イタリア、ハンガリー、トルコなどの文化が、食生活など日常的なレベルでもまじりあい、さらに宮廷を通してブルグントやスペイン、フランスの文化も流れ込んだ。異文化がせめぎあう中にあって、それらが共存し融合するための舞台という役どころが、まるでこの都市の遺伝子のようになってしまっているかのようにすら見える。本書は、こうした多彩な要素がからみあった文化が生み出されたウィーンの文化土壌がいかなるものであり、そこで都市の遺伝子がどのように発現したのかを、「多民族文化」をキーワードに、分野を異にする七人の執筆者の視点から探ったものである。(『まえがき』より一部抜粋)

この本の
キーワード: オーストリア、ハンガリー、ドナウ、西欧文化、バロック、オペラ、文化メトロポーレ、宮廷都市、音楽都市、劇場都市、学際都市、円形都市、城塞都市

斎藤環『時代の風 (仮) 』

斎藤環/著
内容紹介: 自立の名のもとに弱者を切り捨てる社会に希望はあるか。ニートやひきこもりの問題など、精神科医の痛烈な時評エッセイ。毎日新聞コラム。
出版社名 :毎日新聞社
ページ数/版型 :46
ISBNコード :978-4-620-32006-9(4-620-32006-4)
発売予定日 2010年6月下旬
予約締切日 2010年6月8日
予定税込価格 1,680円

『チェコ民族再生運動 —— 多様性の擁護,あるいは小民族の存在論 ——』

■体裁=A5判・上製・函入・528頁
■定価 12,075円(本体 11,500円 + 税5%)
■2010年5月27日
■ISBN978-4-00-023861-8 C3022

著者の紹介文
http://www.kobe-u.ac.jp/info/book/1005_03.htm

目次(pdf)
http://www.iwanami.co.jp/.PDFS/02/2/0238610.pdf

より詳細な概要については石川達夫のホームページ (http://web.cla.kobe-u.ac.jp/staff/ti/index)
を参照されたい。また、岩波書店のホームページ
(http://www.iwanami.co.jp/hensyu/tan/index_t.html) で最初の30ページを無料閲覧できる。

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