ISBN 978-4-7710-2055-9 (4-7710-2055-8)
書名 世紀末ウィーン文化探究
サブタイトル 「異」への関わり
NDC: 940.26
NDLSH オーストリア文学 -- 歴史 -- 近代; ウィーン--文化--歴史--近代;ユダヤ人--オーストリア--歴史--近代; ジャポニスム
著者 西村雅樹
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/dokubun/nishimura.html
発行 晃洋書房(こうようしょぼう)
判型 四六判(19 x 13.6 x 2.6 cm )
頁数 242,5P
刊行 2009年7月
価格 税込 2,940円
概要(出版社) 世紀末ウィーンにおける、ユダヤ系知識人の精神状況、芸術家たちが抱いた日本への関心をめぐる問題を取り上げ、多様で豊かな文化を探究する。
概要(「BOOK」データベース)ウィーン留学期の斎藤茂吉も観たオーバーアマガウ受難劇。第二次大戦後の台本改訂における問題点の指摘、ならびに音楽家マーラーの精神性との対比を含む『オーバーアマガウ受難劇』。クリムトらによって結成された「分離派」による「日本美術特集展」に対するバールらの批評家の反応を通して、日本への関心のあり方を探った『ウィーン分離派の「日本展」をめぐって』。全十章から成る「世紀末ウィーン文化」探究成果の集成。
目次
序章 アメリカの「世紀末ウィーン文化」研究書
第�部 「異」への関わり
第一章 世紀末ウィーンにおける「異」への関わり
第�部 世紀末ウィーンのユダヤ人問題
第二章 ウィーンのユダヤ系文化史家ハンス・ティーツェ
第三章 ハプスブルク帝国末期ウィーンのユダヤ系市民
第四章 オーバーアマガウ受難劇
第五章 ヘルマン・バールと同時代のユダヤ系思想家たち
第�部 世紀末ウィーンのジャポニスム
第六章 ウィーン分離派の「日本展」をめぐって
第七章 バールの主要関心事と日本
第八章 ホーフマンスタールにとっての東洋
終章 世紀末ウィーンの芸術と光
著者の問題意識(http://www.hmn.bun.kyoto-u.ac.jp/glomus/member.html から転載)
世紀末ウィーンにおける異文化受容
19世紀末から20世紀初頭にかけての世紀末ウィーン文化を研究するにあたっては,異文化との関わりが重要なテーマとなる。バールやホーフマンスタール等「若きウィーン派」の文学者たちの中には,日本への関心を示した人々がいた。その関心は,西洋の理性中心主義への批判という問題意識に発するものであった。この問題意識は言語への懐疑と批判として展開され,同時代に東洋思想への傾斜を示したオーストリア人マウトナーの論ともつながりを持つ。また世紀末ウィーンにあって主要な役割を果たしたユダヤ系知識人においては,キリスト教を精神的支柱とする西欧文明に同化するにあたって葛藤が見られた。シュニッツラーには,この点を扱った問題作が見られる。ユダヤ系知識人が抱えていた西欧文明受容というこの問題は,近代西洋精神への問い直しという問題として,前述のウィーンの作家たちの東洋への関心とも重なるものと言える。