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2010年5月8日土曜日

書評『図書館の基本を求めて 3』田井 郁久雄著

著者が、各地の図書館を実際に訪れて見学した上で評価しているところや、自身の図書館員経験を踏まえて、岡山と同規模の自治体の
統計を見ただけで、カウンター混雑具合などを体感として読みとれるところが素敵だと思った。

図書館統計を「読める」人は少ないと思うし
文献上では盛んに取り上げられ、ほめそやされる図書館(千代田、矢祭町など)の現状をレポートする人も少ない。
千代田の利用者カウントが6倍増しになっているという具体的指摘には納得。

思うに、著者は古き良き「貸出サービス」信奉者である。
曰く、貸出は、レファレンスや読書案内を含むもので、選書など
あらゆる業務の根幹であると。
図書館の活動の活発さ、図書館員の活躍は「貸出カウンターの繁忙、貸出冊数の伸び」
に現れるというお考え。

そのこと自体は否定しないし、地道なこういう活動を行って、貸出冊数が伸びている自治体には
スポットライトが当たらず、むしろ「奇抜な」体を装った「ビジネス支援」等々ばかりが
図書館界内外で話題に上り、「評価」されることは、望ましくないことである。

だが、なぜ今のように、全般的に資料購入費が伸び悩み、図書館は直営ではなくてもいい
という自治体が増えている現状があるのか?
それは著者世代の図書館員が「貸出サービス」偏重だったからではないか?
とも思うのです
そのことへの反省が全くない。
ひたすら自分の物差しで判断されている。

見方が一方的なので、すらすら読みやすい本ではあります。

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