# 文庫: 280ページ
# 出版社: 講談社 (1998/10/9)
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4061976346
# ISBN-13: 978-4061976344
# 発売日: 1998/10/9
*時間は吉田の生涯のテーマだったが、最晩年にかかれたこの批評は吉田の思索の最高峰であると同時に、日本語という言語の内懐でなされた哲学の試みの最高の達成でもある。
*人生に於る時の流れの意味を考察した名文。文化が真に成熟したのは常識に反し十八世紀西欧だとの独創『ヨオロッパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点。心和む哲学的時間論。
*人生の中で時間が流れていく、ということの意味を考え現代文明の偏見を脱して捉われの無い自由な自分となる。文化の真の円熟や優雅さは十八世紀西欧にあるとの『ヨオロツパの世紀末』を著した著者が、その最晩年に到達した人間的考察の頂点にして、心和む哲学的な時間論。『時間』を書き上げると残っているものを全部出したと感じる、と述懐した批評家吉田健一の代表作。
『ヨオロッパの世紀末』
■青194-2
■体裁=文庫判
■品切重版未定
■1994年10月17日
■ISBN4-00-331942-7
ヨーロッパとは何か.我々は誤解を重ねてきたにすぎない——ヨーロッパがヨーロッパとしての性格を完成した十八世紀,堕落に転じた十九世紀,そして再生の季節としての世紀末を論じた本書は,その比類ない歴史感覚でそれまでのヨーロッパ観,世紀末観を根底から覆した.著者円熟期の最も薫りたかい果実である.(解説
辻邦生)
世紀末文学は俗悪な十九世紀に対する反抗であり、十八世紀の成熟した文明の再評価だという認識をうちだした画期的な批評。近代日本文学は俗悪なヨーロッパ十九世紀文学をさらに俗悪にしたものであり、この本は日本的な「文学」概念に対する根本的な批判でもある。野間文芸賞受賞。
『ヨオロッパの人間—現代日本のエッセイ』
文芸文庫
ヨオロッパノニンゲン
ヨオロッパの人間
現代日本のエッセイ
著者: 吉田健一
発行年月日:1994/10/10
サイズ:A6判
ページ数:286
ISBN:978-4-06-196295-8
定価(税込):999円
ヨオロッパ世界はその精神の故郷が地中海にあってその文明の円熟の頂点は18世紀に極まるとみる著者は、人間が人間であることの限界を認め、その人間らしさを重視しつつ、エリザベス一世、ヴォルテエル等の魅力からランボオ、ヴァレリイ他の鮮かな人間像へと説き及ぶ。18世紀の優雅と哀愁を回顧し、諦念から出発した人生のそれ故の喜びと楽しみを、芳純な文体で語る歴史随筆。