generation account
各世代別に、政府に対する支払い(税金の納付・国債の購入・年金の支払い)と政府からの受取り(補助金の受取り・国債の利払いの受取り・年金給付)をそれぞれ分類して、しかもそれをある世代に属している人が一生の間に合計でどれだけ受け取ったり支払ったりしているかを計算して、世代別の損得勘定を確定することを、世代会計という。このような作業は、近年、アメリカの有力な財政学者であるコトリコフ(L.
J. Kotlikoff)らによって提唱され、最近ではわが国を含めて主要な先進諸国で、数量的な作業が進められている。世代別のトータルな損得勘定が確定すれば、財政制度によって、どのような世代間の再分配が行われているのかが明確になる。また、世代会計はストックベースの指標であり、フローベースの指標である財政赤字よりも、ストック化した経済では財政に関するより有益な指標と考えられている。
孫は祖父より1億円損をする : 世代会計が示す格差・日本
島澤諭, 山下努著, 朝日新聞出版, 2009.4, 216p
第1章 「世代会計」で解けるさまざまな問題
第2章 「世代会計」って何だ!
第3章 「世代会計」で見る世代間格差
第4章 老人の、老人による、老人のための政治
第5章 世代間の公平性を確保するために
第6章 「世代会計」と時間、「世代会計」と政府投資
少子化の経済分析
高山憲之, 斎藤修編, 東洋経済新報社, 2006.12, xi, 271p
[目次]
* 少子化経済の課題と展望
* 第1部 少子化と雇用・賃金
国際比較からみた日本の少子化と少子化対策
少子化の経済的インパクト-理論的分析
企業における高齢者の活用-定年制と人事管理のあり方
就業に関する中高年と若年の対立とその後
少結婚化と賃金・雇用制度
* 第2部 人口減少下の財政と金融
少子高齢化と財政収支・経常収支
世代間不均衡と財政改革-世代会計アプローチによる2000年基準推計結果
子育て支援と年金改革-出生率を内生化したモデル分析
人口減少経済と金融政策
少子高齢化と家計のポートフォリオ選択
破産する未来 : 少子高齢化と米国経済
ローレンス・J・コトリコフ, スコット・バーンズ著 ; 中川治子訳, 日本経済新聞社, 2005.7, 366p
2030年、米国ではベビーブーム世代の完全引退で年金・医療費の負担が耐え切れない水準にまで上昇する!-本書が赤裸々に描き出す米国の戦慄の未来は、少子高齢化がさらに深刻な日本にこそ当てはまる。しかも、この悪夢のシナリオはすでに始まっているのだ!「世代会計」が明らかにした少子高齢化の恐るべき真実。
[目次]
* 第1章 赤ん坊から老人へ
* 第2章 真実は小説より悪い
* 第3章 ニューヨークの地図でロサンゼルスを走る
* 第4章 強壮剤、怪しげな薬、その場しのぎの応急処置
* 第5章 臨界に向かって
* 第6章 進路を変える
* 第7章 ライフ・ジャケットにしがみつけ!
* 第8章 自分の未来を救おう
16.
世代の経済学 : 誰が得をし,誰が損をするのか
ローレンス・コトリコフ著 ; 香西泰監訳, 日本経済新聞社, 1993.10, xxv, 292p
高齢化社会を支える莫大な社会保障や医療費は、誰がどう負担するのか?将来にわたる世代ごとの負担と受益の関係を明らかにすることこそ重要だ。政策指標としての「財政赤字」を批判し、新概念の必要性を大胆に説く。
[目次]
* 1章 煙と鏡-無意味な「財政赤字」という概念
* 2章 アメリカ経済の病い-真の問題は貯蓄率の低下にある
* 3章 赤字のせいだ-財政赤字は経済問題とは無関係
* 4章 数字はうそをつき、うそつきが数字を作る-財政政策の基本要素と世代会計の意義
* 5章 世代会計-世代間の負担関係を検証する
* 6章 財政赤字の錯覚-経済指標としての不適切さを検証する
* 7章 戦後の世代政策-各世代への影響と帰結
* 8章 社会保障とベビーブーム世代-世代会計から得られる教訓
* 第9章 世代会計の行方-要約