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2010年9月27日月曜日

暉峻淑子(てるおか いつこ)「異なる意見を持つ人とつながり、関係を築くことが社会人の到達点です」

暉峻淑子(てるおか いつこ)
1928年大阪府に生まれる.日本女子大学文学部卒業後、法政大学大学院理論経済学博士課程修了。経済学博士。昭和50年には埼玉大学教育学部教授となり現在は名誉教授。専攻分野は生活経済論、理論経済学。政治,経済,教育,福祉などさまざまな問題について発言してきた.近年は,ユーゴスラビア難民を支援するNGOの活動に精力的に携わるとともに,憲法と教育基本法を守る活動に力を入れている.
著書に『ほんとうの豊かさとは』(岩波ブックレット),『豊かさとは何か』『豊かさの条件』(以上,岩波新書),『サンタクロースを探し求めて』(シリーズ〈グーテンベルクの森〉,岩波書店),『サンタクロースってほんとにいるの?』(福音館書店),『ゆとりの経済』(東洋経済新報社),『教科書検定』(アドバンテージサーバー),『教育基本法の「見直し」に反論する』(編著,かもがわ出版),『言葉と力』(共著,三省堂),『豊かさへの接近』『公共サービスと国民生活』(以上,産業統計研究社),『経済優先社会』(旬報社)など.

大学卒業後、東京大学・東畑精一研究室の助手となるも、社会を理解するには経済学の勉強が必要であることを痛感し、法政大学の経済学部三年に編入学する。更には大学院・博士課程で理論経済学を専攻し修了。以来、鶴見女子大学、埼玉大学で教壇に立ち、教授を経て現在は名誉教授。退官後、日本女子大学人間社会学部教授、東京経済大学講師。理論経済学会・消費経済学会・緑の文明学会に所属する一方、いくつかの自治体で中期計画作成、社会福祉、女性問題、消費者問題などの委員を務める。加えて、子どもと教科書ネット21代表、ベルリン自由大学・ウイーン大学の客員教授。著書「豊かさとは何か」によって「豊かさ」というキーワードを社会に広める。またわが国のたいがい援助について研究するため難民・貧困者援助活動に従事している。
http://www.annie.ne.jp/~kenpou/meeting/2002/meet51.html
http://www.niizahahaoya.net/haha31-z1.html
「みんな理屈では分かっている。でも、他の誰かや行政が社会をよくしてくれるだろうと待つばかり。そうしている間にグローバル化の波が予想以上に早く来た。助け合いの基盤が未熟なまま、社会が崩れつつあります。
 大阪市での2児放置死事件には心を揺さぶられました。もし私が、いつまでもやまない子どもの泣き声を聞いたら、ベランダをつたってバットで窓を割って中に入ります。子どもを連れて自宅でご飯を食べさせ、体をきれいにしてからどこかに連絡しようと思う。
 虐待は孤立が原因で起きます。公的機関がやってくれるだろうというお任せ主義が、虐待増の背景にあるのです。
 人間は『関係』のなかでしか存在できません。だが、今の日本では不介入が美徳になっている。関係を敬遠し、格差によって社会が二つに分かれると、社会全体で助け合いの合意ができない。自分は非正規雇用じゃなくてよかったと傍観者を決め込んで、わが子が非正規になって初めてがくぜんとする。年金問題で騒いだのも自分のもらう分が減るから。損得だけ、お金との関係だけで考えていないでしょうか。
 国も企業も競争に負けまいと躍起になり、一人ひとりを見ようとしなくなっていませんか。
 以前滞在したドイツでは、労働者の権利ばかり主張したら競争に負けると言われていたけれど、実際は違った。小学校の先生が児童に『神様はわざと人間を不完全につくりました。そうでないと関係ができないから』と、助け合いの心を説いていました。
 日本人も一歩踏み出して行動を起こしてほしい。同時代を生きる人間の義務です。一度力を合わせて社会を動かすと、自信がつき、生活も楽しくなります。豊かな生活を求めて競争に勝っ
たところで、不幸だけが増えては意味がありません。
 今後は『社会人になるとはどういうことか』を発信していきたい。お金をかせぐぱかりが社会人ではない。異なる意見を持つ人とつながり、関係を築くことが社会人の到達点です。
NGO国際市民ネットワーク代表」
国際市民ネットワークとは
 旧ユーゴスラビア紛争で発生した難民支援などを続けている非政府組織。九四年十一月、暉峻淑子日本女子大教授が東京都練馬区の自宅を本部に設立した。会員制度はとっておらず、ボランティアがそのつど参加している。今まで六百五十人から千四百万円、団体から医療用品、薬、衣類、ミルクなどが寄付された。

『格差社会をこえて』
■体裁=A5判・並製・64頁
■定価 504円(本体 480円 + 税5%)
■2005年4月5日
■ISBN4-00-009350-9 C0336
勝ち組・負け組の競争原理によって,貧富の二極分解が急速に進行し,子どもたちは選別によって疲れ果てている.なぜ日本は生活者が望むのとは正反対の道に迷い込んでしまったのだろうか?
生活こそはすべての指標と考える著者が,いま急速に進む格差の拡大に警鐘を鳴らし,人間的な連帯の社会をつくっていく道をさぐる.
■目次
生活者は格差社会を望まない
国内を循環しない経済は社会の二極化を招く
生活の尊重こそ人間の尊厳を守る
差別社会のゆくえ
差別と競争を教育に持ち込んではいけない
格差を助長する国家システム——税制と社会保障
格差社会をこえて

『豊かさの条件(新赤版836)』
2003年5月20日発売
■目次
はじめに
第1章 切り裂かれる労働と生活の世界
第2章 不安な社会に生きる子ども達
第3章 なぜ助け合うのか
第4章 NGOの活動と若者達
第5章 支えあう人間の歴史と理論
希望を拓く——終章に代えて
あとがき

『ほんとうの豊かさとは —— 生活者の社会へ ——』
■体裁=A5判・63頁
■品切重版未定
■1995年12月20日
■ISBN4-00-003328-X C0336
カネとモノが豊かだった時代は終った.新卒者の就職はお先真っ暗,失業率は高くなり,銀行の倒産,貯蓄率の低下…日本経済はこれからどうなるのか.企業社会でなく生活者の社会の中にこそ解決の方向があると説く.

『豊かさとは何か』
■新赤版 85
■体裁=新書判
■定価 819円(本体 780円 + 税5%)
■1989年9月20日
■ISBN4-00-430085-1 C0236
モノとカネがあふれる世界一の金持ち国・日本.だが一方では,環境破壊,過労死,受験競争,老後の不安など深刻な現象にこと欠かず,国民にはゆとりも豊かさの実感もない.日本は豊かさへの道を踏みまちがえた,と考える著者が,西ドイツでの在住体験と対比させながら,日本人の生活のあり方を点検し,真に豊かな社会への道をさぐる.

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