http://square.umin.ac.jp/jsss-hp/intro/04.htm#about
日本脊椎脊髄病学会>脊椎脊髄疾患
http://www.jssr.gr.jp/jssr_web/html/sick/sick_main.html#11
日本整形外科学会編診療GL/医療・GL(05年)/クリニカルクエスチョン
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0017/1/0017_G0000045_CQ.html
2007年02月26日付朝日新聞 朝刊 生活2
「椎間板ヘルニア手術、内視鏡・顕微鏡で優しく 傷口小さく、10日で退院」(田村建二)
腰痛を招く腰椎(ようつい)の椎間板ヘルニアを内視鏡を使って手術する治療が広まってきた。ほとんどの場合、痛みはだんだんと治まるが、痛みやしびれがいつまでも消えないこともある。そんな時の選択肢の一つで、従来の手術より傷口が小さく、術後の痛みも少ない。患者の負担が軽い方法には顕微鏡を使った手術も普及している。ただ、ともに医師には高い技術が求められる。それぞれの長所・短所を知り、医師を選ぶにはどうすればいいのか、考えてみた。
東京都内の金融機関に勤めるAさん(53)はこの1月、都内の病院で内視鏡を使った椎間板ヘルニアの除去手術を受けた。足の痛みはすっかり消え、翌々日から歩き始めた。入院して10日後に退院し、間もなく職場復帰できた。
昨年9月、スーパーで飲料のペットボトルを買い、自宅前で車から下ろそうとした時だった。「ビーン」と腰に電気が走ったような感覚が走ったかと思うと、痛みで動けなくなった。
過去2回は痛み止めの飲み薬や注射などでしのいできた。今回はお尻から足先にかけて傷口をこすられるような激痛がいつまでも治まらない。手術を考えたが、人事部門の管理職なので長くは休めない。
同病院で執刀した松本守雄・慶応大学助教授は「従来の手術より術後の痛みが小さく、社会復帰が早いのが強みです」と話す。松本さんは00年から始め、約300例実施したという。
椎間板ヘルニアの手術は、腰の皮膚や筋肉を切開してから背骨の一部を削ってすき間をつくり、ヘルニアを取り除く。
従来の方法も内視鏡を使う方法も基本的な手順は同じだが、皮膚を5〜7センチほど切る従来の手術では痛みで術後1週間近く起き上がれないこともあり、2〜3週間の入院が必要だった。
内視鏡手術は、腰に挿し込んだ円筒状の器具に内視鏡と手術器具を通し、画像をモニターで見ながら操作する。傷口は一般に2センチ未満ですむ。
日本では90年代後半から取り組む病院が出始め、昨春、公的医療保険が利くようになった。日本整形外科学会によると、年に8千例実施され、さらに増え続けているという。
ただ画面は平面だが、実際は立体。その感覚をつかむのが難しい。誤って神経などを傷つける恐れが従来の手術より高いとされる。ヘルニアがあまりに大きい場合などでは、安全を考えて避けることもある。
「訓練の足りない医師がむやみに内視鏡に挑んで失敗する事態は避けたい」。10年近い経験がある千葉労災病院(千葉県市原市)の山縣正庸(まさつね)・整形外科部長はいう。
同学会は一定の技術と経験をもつ医師を認定し、ウェブサイトで公開しているが、まだ30人ほど。全国どこでも安心して受けられるとはいえないのが現状だ。
●脳神経外科も経験豊か
負担の軽い手術としては、すでに顕微鏡を使う方法が普及している。3〜4センチほど切開し、患部を手術用の顕微鏡で直接見ながら手術するのが一般的だ。最近は内視鏡手術で使うのと同様の円筒形器具を使う方法も広まってきた。こちらだと、傷の大きさも内視鏡と変わらない。
金沢医大の藤田拓也講師は「顕微鏡は両目を使うので立体感があり、安全に手術がしやすい。椎間板ヘルニアの手術を内視鏡でする必要は、特には感じない」と話す。
顕微鏡だと内視鏡に比べて少し視野が狭いとされるが、不自由は感じないという。入院期間などにはほとんど差がないといわれ、どちらが優れているとも言い切れない。
椎間板ヘルニアの治療に携わるのは整形外科医が多いが、顕微鏡を使った手術の経験が豊富な脳神経外科医も少なくない。
藤枝平成記念病院(静岡県藤枝市)の花北順哉・脊髄(せきずい)脊椎疾患治療センター長もその一人。年に約60例のヘルニア手術をし、ほぼすべてで顕微鏡を使う。
どんな医師に治療を受けたらいいか。ポイントは「脊髄の手術経験がどれだけあるか、です」と花北さん。
関係学会のウェブサイトに経験の豊富な指導医名が公開されていて参考になる、という。
◆キーワード
<腰椎椎間板ヘルニア> 背骨の間でクッションの役目を果たす椎間板のうち、内側の髄核という組織が外部にはみ出して神経を圧迫した状態。20〜40代での発症が多く、通常は痛みを抑える薬や注射などを使っているうちに症状が治まる。手術は排尿障害や、足のしびれが2〜3カ月ほど続くなどの場合で、全体の1〜2割とされる。
日本整形外科学会(www.joa.or.jp)は内視鏡手術の認定医を公開している。
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医名簿
http://www.joa.or.jp/jp/public/search_doctor/vertebra.html
『患者さんのための腰椎椎間板ヘルニアガイドブック』(2008年11月7日 読売新聞)
腰痛の代表的な原因の一つである椎間板(ついかんばん)ヘルニアがどんな病気か知ってもらおうと、日本整形外科学会は一般向けに「患者さんのための腰椎椎間板ヘルニアガイドブック」=写真=(南江堂、B5判66ページ、1200円+税)を出版した。
椎間板ヘルニアは、背骨の間で、クッションの役割をしている椎間板が、背中側に飛び出すことで、神経を圧迫し、痛みなどを引き起こす病気。20〜40歳代に多い。
ガイドブック作成責任者で東京医科歯科大整形外科教授の四宮謙一さんは「適切な対処をすれば多くは良くなる病気。なのに不適切な診断や治療を受けたために悪化させる人もいる。一般の方に正しい情報を伝えたい」と語る。
ガイドブックは33項目のQ&A方式で、腰のしくみから、生活習慣との関係、検査方法、治療選択について、専門医が解説。イラストや図解を交え、一般向けに、わかりやすい言葉で伝えている。書店で注文できる。
『日本整形外科学会診療ガイドライン腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン文献アブストラクトCD-ROM付』
「疫学・自然経過」「病態」「診断」「治療」「予後」について37のリサーチクエスチョンを設け,推奨・要約と解説を示した.エビデンスに基づいた診断・治療,患者への説明のよりどころとなる,整形外科医必携の書.付録のCDには文献アブストラクトを収載した
書籍名:日本整形外科学会診療ガイドライン腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン文献アブストラクトCD-ROM付
出版社名:南江堂
発行年月日: 2005年05月
著者名:編集 : 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/腰椎椎間板ヘルニアガイドライン策定委員会/厚生労働省医療技術評価総合研究事業/「腰椎椎間板ヘルニアのガイドライン作成」班
ISBN:978-4-524-24072-2
総頁数:110
判型:B5
価格: 2,730円(税込)
第1章 疫学・自然経過(有病率、性差、好発年齢、好発高位は/腰椎椎間板ヘルニアの発生に影響を及ぼす要因は何か ほか)/第2章
病態(高齢者における椎間板ヘルニアは青壮年と相違があるか/若年性椎間板ヘルニアは青壮年と相違があるか ほか)/第3章
診断(診断に必要な問診や病歴は/診断における特徴的な所見(理学所見および神経学的所見)は何か ほか)/第4章
治療(腰椎椎間板ヘルニアに対する硬膜外副腎皮質ステロイド薬注入療法は有効か/腰椎椎間板ヘルニアの治療にspinal
manipulationは有効か ほか)/第5章
予後(腰椎椎間板ヘルニア患者のなかでどの程度の患者が手術に至るか/保存療法と手術療法による予後の差はあるか ほか)