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2010年4月16日金曜日

小田嶋隆さんの「一覧性」エッセイ抜粋

「一覧性」は、単に《情報を一目で見渡せる性質》《ページを一覧する上での見やすさ》という意味を表現するだけの言葉であってはならない。「一覧性」は、《情報がページ内で完結している》という性質を、併せて備えていてしかるべきだ。

 具体的には、「他のページを参照させたり、補完情報をリンク先に託していたり、用語解説をウィキペディアに委ねていたり、細部に関する解説をグーグル検索に頼っていたりする原稿は、ウェブ上では通用しても、紙のメディアでは許してもらえないぞ」ということだ。

ウェブ上のテキストは、一種の「集合知」としての検索エンジン(ないしはウィキペディア)を前提に書かれている。その循環参照のありようは、一見便利なようでいて、どこまでも拡散的で、最終的には、曖昧さから逃れられない。というよりも、それらの編集可能性を留保した多元参照済みのテキストは、無限改訂草稿というのか、決して完成稿に到達しない、永遠の"青稿"なのである。

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